「車のキーはどうされていたんですか?」
優一が佐竹に尋ねた。佐竹が一瞬答えに詰まる。
「いや・・・お恥ずかしい話ですが・・・。」
口ごもりながら佐竹が答えた。
「その日は釣りに出かける予定で、朝早くから準備していたんです。それでいざ出発というところで、忘れものを思い出して、エンジンをかけっぱなしで家に戻ったんです。すぐすむからと油断したのがいけなかったんだと思います。私が家に入ってすぐ、外で車が発進する音がして外に出てみると・・・。」
「なるほど、車がなくなっていたわけですね。」
「はい。多少面倒でも、一度キーを抜いておけばこんなことにはならなかったんですが・・。」
佐竹はそう言ってうなだれた。
「その車で、人が一人命を落としたなんて・・・私にとっては、その人を殺したのも変わらないですね。」
佐竹は本当に悔やんでいるように言った。確かに自分の車で人ひとりの命が奪われたのだ。ショックでないといったらウソになる。
「でも、それだけで不幸は終わらなかった・・・。」
やや声のトーンを落として優一が言った。ふっと佐竹が顔をあげる。
「その一年後、あなたは奥さんもなくされている。強盗殺人という卑劣極まりない犯罪の犠牲者になってしまった。その時のことも教えていただけますか?」
佐竹はまたうなだれて、悔しさをにじませながら言った。
「妻が・・・あんな形で殺されるなんて・・・。今思い出しただけで、寒気がします。私が知人との旅行で帰ってきたら、台どころで血まみれになっている妻の姿が・・・刃物でめった刺しにされて・・・。」
佐竹は思わず声を詰まらせた。それは、最愛の妻を亡くし、悔しさを抑えきれずにいるように見えた。有一はそんな佐竹のしぐさに不自然な点がないかどうか、鋭い目で見つめていた。
~つづく~
優一が佐竹に尋ねた。佐竹が一瞬答えに詰まる。
「いや・・・お恥ずかしい話ですが・・・。」
口ごもりながら佐竹が答えた。
「その日は釣りに出かける予定で、朝早くから準備していたんです。それでいざ出発というところで、忘れものを思い出して、エンジンをかけっぱなしで家に戻ったんです。すぐすむからと油断したのがいけなかったんだと思います。私が家に入ってすぐ、外で車が発進する音がして外に出てみると・・・。」
「なるほど、車がなくなっていたわけですね。」
「はい。多少面倒でも、一度キーを抜いておけばこんなことにはならなかったんですが・・。」
佐竹はそう言ってうなだれた。
「その車で、人が一人命を落としたなんて・・・私にとっては、その人を殺したのも変わらないですね。」
佐竹は本当に悔やんでいるように言った。確かに自分の車で人ひとりの命が奪われたのだ。ショックでないといったらウソになる。
「でも、それだけで不幸は終わらなかった・・・。」
やや声のトーンを落として優一が言った。ふっと佐竹が顔をあげる。
「その一年後、あなたは奥さんもなくされている。強盗殺人という卑劣極まりない犯罪の犠牲者になってしまった。その時のことも教えていただけますか?」
佐竹はまたうなだれて、悔しさをにじませながら言った。
「妻が・・・あんな形で殺されるなんて・・・。今思い出しただけで、寒気がします。私が知人との旅行で帰ってきたら、台どころで血まみれになっている妻の姿が・・・刃物でめった刺しにされて・・・。」
佐竹は思わず声を詰まらせた。それは、最愛の妻を亡くし、悔しさを抑えきれずにいるように見えた。有一はそんな佐竹のしぐさに不自然な点がないかどうか、鋭い目で見つめていた。
~つづく~