東京。
8月の蒸し暑い夜だった。一人の男性が、酒を飲みガード下の暗い道を歩いていた。鼻歌を歌いながら、ご機嫌のようだ。しかし、男の足取りは右へ左へふらりふらりとおぼつかない。そんな足取りだから、あちこち躓いては転びそうになる。
ドカ!
男の足が、何か大きなものに当たった。男の体は前のめりに倒れ、胸のあたりを思い切りアスファルトに打ち付けた。
「うう~~いってぇなぁ・・・。」
男は体を起こし、焦点の合わない目で、躓いた物体に眼をこらした。そのとき、ガードの上を列車が通り過ぎた。電車からの光で、ようやく男の目にその物体が目に映った。だれかが倒れているようだ。どうもその倒れている人物に躓いてしまったらしい。この男と同じ、酔っ払いなのだろうか。男はお節介にも、倒れている人物に声をかけた。
「もしもし~~ぃ。らいじょうぶれすかぁ?」
男が人物の背中をゆする。しかし反応はない。不審に思った男は、もう一度男の背中あたりに手をあてがう。次の瞬間、男の手になにかぬるりとした生暖かいものがついた。かわきかけのペンキのような感触だった。男がその手を見たとき、ちょうどガードの上を電車が通った。
男の手には、べっとりとした赤黒いものがまとわりついていた。それが固まりかけた血であることに男が気がつくのには、そう時間はかからなかった。
「ひ・・・!ひえぇ!」
男は思わず尻もちをついてへたり込んでしまった。
深夜11時15分。こうして事件の扉は開けられた。
~つづく~
8月の蒸し暑い夜だった。一人の男性が、酒を飲みガード下の暗い道を歩いていた。鼻歌を歌いながら、ご機嫌のようだ。しかし、男の足取りは右へ左へふらりふらりとおぼつかない。そんな足取りだから、あちこち躓いては転びそうになる。
ドカ!
男の足が、何か大きなものに当たった。男の体は前のめりに倒れ、胸のあたりを思い切りアスファルトに打ち付けた。
「うう~~いってぇなぁ・・・。」
男は体を起こし、焦点の合わない目で、躓いた物体に眼をこらした。そのとき、ガードの上を列車が通り過ぎた。電車からの光で、ようやく男の目にその物体が目に映った。だれかが倒れているようだ。どうもその倒れている人物に躓いてしまったらしい。この男と同じ、酔っ払いなのだろうか。男はお節介にも、倒れている人物に声をかけた。
「もしもし~~ぃ。らいじょうぶれすかぁ?」
男が人物の背中をゆする。しかし反応はない。不審に思った男は、もう一度男の背中あたりに手をあてがう。次の瞬間、男の手になにかぬるりとした生暖かいものがついた。かわきかけのペンキのような感触だった。男がその手を見たとき、ちょうどガードの上を電車が通った。
男の手には、べっとりとした赤黒いものがまとわりついていた。それが固まりかけた血であることに男が気がつくのには、そう時間はかからなかった。
「ひ・・・!ひえぇ!」
男は思わず尻もちをついてへたり込んでしまった。
深夜11時15分。こうして事件の扉は開けられた。
~つづく~