広瀬は、京子に静かに頭を下げた。広瀬はこの運命の出会いに、心から感謝していた。

「おとうさんのばか・・・。」

まひるは下を向いたまま、ようやく声を出した。

「知ってたなら・・・もっと早く教えてよ・・・。そしたら、もっと早く守のこと・・・。」

まひるは両手で顔を覆い、涙を流していた。まひるもまた、運命が与えた出会いを静かに受け入れようとしていたのかもしれない。まひるは、涙を止めることができなかった。矢島は、そんな愛娘の頭をやさしくなでて言った。

「運命なんてものより大事なのは、そんな運命をしらないでも、二人が自然に惹かれあったってことさ。それは運命なんて関係なく、二人は結ばれるべくして結ばれたってことだよ。」

矢島はやさしく微笑んで言った。

やがて矢島が自分の腕時計に目を落としながら言った。

「さあ、そろそろお客さんが来るかな?」

「え?」

まひるが顔をあげた。

「お父さんの大事な人の親友に声を掛けてあるんだ。今日二人が来ることを教えたら、一緒にお祝いさせてほしいってね。たぶん、二人とも会ったことのある人がいるんじゃないかな?」

その言葉が終わるか終らないかのうちに、家の呼び鈴が鳴った。

「ほら、噂をすればだ・・。」

京子がインターフォンのボタンを押すと、「どうぞ~!」といいながら来客を呼び入れる。すると、数人の来客が奥のダイニングに入ってきた。

「よお!話はおわったかい?」

入ってきたのは早瀬と由加利、そして葵の3人だった。

「あ・・・早瀬さん?」

「覚えててくれたか?よかったな、まひるちゃん。」

早瀬はそう答えると、今度は広瀬の肩を叩いて言った。

「しっかりまひるちゃんを守るんだぞ!」

「あ・・・はい・・。」

そんな会話をしている間に、葵と由加利が持参したおかずをテーブルに置く。由加利はまじまじと広瀬の顔を見ながら言った。

「へえ・・・キミがまひるの甥っ子かぁ。目のあたりがまひるに似てるかなぁ。」

「そ・・・そうですか?」

広瀬はおどおどしながら答える。まひるも広瀬も突然の来訪者の3人に驚いたのか、きょろきょろとあたりを見回しながらちょっとそわそわしていた。

~つづく~