話し終わると矢島はひとつため息をついた。
そして矢島の前には唖然とした表情のまひると広瀬がいた。とりわけ広瀬は驚きを隠せない様子で、唇を震わせている。
「偶然とは格も恐ろしいものだと思った。いや、これはただの偶然じゃない。きっと『沢野まひる』という魂が、いじめに苦しんでいる君を見て、二人を引き合わせたのだとそう信じたかった。」
矢島は一言一言をかみしめるように言った。
「もし、神様がいて、その神様が二人を引き合わせたのだとすれば、ひどく回りくどいことをしたものだとも思ったよ。まさか君がまひるの甥っ子だったなんて・・・。」
矢島の声は心なしか震えていた。矢島の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。まひるは、ただ押し黙ったまま、ずっと下を向いている。
「これは私にとっても奇跡なんだよ。あの不幸な事故で、君のおばさんが亡くなったあと、僕の夢の一つは打ち砕かれてしまった。もし、彼女が生きていたなら、僕はきっと彼女と家族になることを、夫婦になることを望んだろう。しかしそれは彼女の死でかなわぬ夢になってしまった。でも僕の心の中にはいつも彼女がいた・・・・。でも・・・。」
矢島はひとつ大きく息を吸うと、ゆっくりとあとを続けた。
「もし、君とまひるが夫婦になれば、僕は君たち二人を通して30年の時を超えて彼女と晴れて『家族』になれる。義理の兄弟という形で・・・・。そんな二人の出会いと結婚を、僕が拒否すると思うかい?」
矢島の目から、一筋の涙がこぼれた。矢島はそれを拭うと、精一杯の笑顔を見せながら言った。
「君にもう一度聞こう。君たち二人の出会いは、運命だと思うかい?」
「はい、思います!」
いつの間にか、そう返事をした広瀬も目にいっぱいの涙をためていた。まひるも下を向いたまま肩を震わせている。
矢島は何度かうなづくと、静かに言った。
「おめでとう・・・娘を頼んだよ。」
「はい!」
広瀬ははっきりとそう答えた。キッチンから顔を出した京子が明るい声で言った。
「おめでとう。よかったわね、ふたりとも!」
~つづく~
そして矢島の前には唖然とした表情のまひると広瀬がいた。とりわけ広瀬は驚きを隠せない様子で、唇を震わせている。
「偶然とは格も恐ろしいものだと思った。いや、これはただの偶然じゃない。きっと『沢野まひる』という魂が、いじめに苦しんでいる君を見て、二人を引き合わせたのだとそう信じたかった。」
矢島は一言一言をかみしめるように言った。
「もし、神様がいて、その神様が二人を引き合わせたのだとすれば、ひどく回りくどいことをしたものだとも思ったよ。まさか君がまひるの甥っ子だったなんて・・・。」
矢島の声は心なしか震えていた。矢島の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。まひるは、ただ押し黙ったまま、ずっと下を向いている。
「これは私にとっても奇跡なんだよ。あの不幸な事故で、君のおばさんが亡くなったあと、僕の夢の一つは打ち砕かれてしまった。もし、彼女が生きていたなら、僕はきっと彼女と家族になることを、夫婦になることを望んだろう。しかしそれは彼女の死でかなわぬ夢になってしまった。でも僕の心の中にはいつも彼女がいた・・・・。でも・・・。」
矢島はひとつ大きく息を吸うと、ゆっくりとあとを続けた。
「もし、君とまひるが夫婦になれば、僕は君たち二人を通して30年の時を超えて彼女と晴れて『家族』になれる。義理の兄弟という形で・・・・。そんな二人の出会いと結婚を、僕が拒否すると思うかい?」
矢島の目から、一筋の涙がこぼれた。矢島はそれを拭うと、精一杯の笑顔を見せながら言った。
「君にもう一度聞こう。君たち二人の出会いは、運命だと思うかい?」
「はい、思います!」
いつの間にか、そう返事をした広瀬も目にいっぱいの涙をためていた。まひるも下を向いたまま肩を震わせている。
矢島は何度かうなづくと、静かに言った。
「おめでとう・・・娘を頼んだよ。」
「はい!」
広瀬ははっきりとそう答えた。キッチンから顔を出した京子が明るい声で言った。
「おめでとう。よかったわね、ふたりとも!」
~つづく~