「ほう・・23歳になられたんですか。それなら私の孫と同い年ですね。」

沢野は矢島のほうを振り返って言った。

「お孫さん・・・ですか?」

「ええ。まひるには2つ上の姉がいましてね。その息子が23歳なんです。」

「そうですか。偶然ですね。」

矢島は笑みを浮かべながら答えた。しかし沢野の表情はさえない。沢野は何かを思い出しながら言葉を続けた。

「矢島さんも昔はいじめにあっていらっしゃったんですよね?」

「ええ・・・小学校からですが・・・。」

沢野はまたゆっくりと歩を進めながら話をはじめた。

「いい子なんですが、その性格が災いしたのか、孫もいじめに会っていましてね。中学校のころから特にいじめがひどかったらしくて・・・。」

「そうですか・・・お孫さんが・・・。」

「高校に進学して少し安心していたのですが、同じ中学を卒業した同級生に高校に入ってからもいじめられていたようで、すぐに学校をやめてしまったんです。それで別の高校に編入して・・・。」

そこまで聞いたところで、矢島はどこかで聞いた話だと思っていた。その話を思い出すのにそうは時間はかからなかった。矢島ははっとして沢野に尋ねた。

「で、お孫さんは今どうしていらっしゃるんですか?」

「大学を卒業して昨年の春に社会人になったばかりです。たしか・・・加藤物産という会社だったとおもいますが・・・。」

矢島は体の中につめたいものが走るのを感じた。まさか・・・そんなことが・・・?矢島は信じられない表情を浮かべながら、さらに沢野に尋ねる。

「もしかして、お孫さんが最初にやめられてしまった高校は、旭台高校ではないですか?」

「そうですが・・・・なぜ、それを・・・・?」

沢野が驚いたように聞き返した。

矢島はいましがたまでいたまひるの墓のほうを振り返ってつぶやいた。

「まひる・・・・もしかして、君は・・・・・。」

矢島はあまりのことに呆然としたまま、じっとまひるの墓標を見つめることしかできなかった。昨日、娘が話していた青年は間違いなく・・・・。

矢島は混乱しながらも、神が創ったとしか思えない偶然にただ驚くしかなかった。


~つづく~