次の日曜日。

まひるは最寄の駅まで広瀬を迎えに出ていた。改札口で、まひるは首を伸ばして広瀬の姿を探していた。やがて駅の階段を上がったところにスーツ姿の広瀬の姿を見つけると、まひるは大きく手を振った。広瀬もすぐにそれに気がついて、手を振って返した。

広瀬が改札から出てくると、まひるはすぐに広瀬に腕を絡ませた。そして、ほんの少し曲がっていたネクタイを丁寧にまっすぐに直した。

「ごめんね・・・事前に父には了解してもらおうと思ったんだけど。。」

まひるがすまなそうに言った。それを聞いた広瀬は首を横に振る。

「お父さんからしたら、一人娘をそう簡単にはわたせないでしょ?」

「守・・・。」

まひるは不安な気持ちいっぱいだった。それを安心させるように広瀬が言った。

「大丈夫だよまひる。おとうさんきっと許してくれるよ。僕も精一杯自分の気持ちを伝えるし、そうすればお父さんだってわかってくれると思うよ。」

「そうだね・・・うん、わかった。私も一生懸命気持ちを伝える。」

ようやくまひるの顔に笑顔が戻った。広瀬もうなずく。


まひるの家までは駅からわずか5分ほど。しかし、まひるにはその5分がものすごく長く感じていた。それだけ結婚の話をするためのプレッシャーが重くのしかかっていたのだろう。でも、父ならきっと許してくれる・・・・まひるは、そう自分に言い聞かせていた。

やがて、二人は家の前に到着した。広瀬が大きく深呼吸する。

「よし、いこうか!」

広瀬が自分に気合を入れるように言った。まひるがゆっくりとドアを開ける。

「ただいま・・・彼、つれてきたよ。」

まひるがおくのダイニングルームに向かって言った。

「はあい、どうぞ~。」

京子の明るい返事が返ってくる。広瀬は意識して大きな声で言った。

「おじゃまします!」

広瀬はゆっくりと家に足を踏み入れた。広瀬は丁寧に自分の靴をそろえ、2・3度肩を上下に動かして、リラックスしようとする。しかし、広瀬の心臓はいつもより早く拍動している。広瀬は思わず胸の辺りを押さえる。そんな広瀬の様子を見て、まひるがやさしく声をかけた。

「大丈夫?あんまり緊張しないで・・。」

そうはいったものの、まひるの旨も広瀬同様にどきどきしていた。緊張するのはやむ終えないところだが、ここでしっかりしないといけないと、まひるは自分に言い聞かせた。

~つづく~