それからまた、1月ほど経ったときのことだ。
広瀬はまひると一緒に郊外の遊園地へとデートに出かけていた。その日は広瀬が自分の車でドライブもかねて、遊園地へと向かっていた。
広瀬もまた、あれからずっとまひるとの付き合いのことをずっと考えていた。自分はまひるが好きだ。でも、自分はもしまひると結婚することになったら、まひるを支えることができるような人間なのだろうか・・。広瀬はそれでずっと頭を悩ませていた。なによりもまひるが、そこまで自分を必要としてくれているのか、まだ自信が持てなかった。
広瀬は運転をしながら、隣の助手席に座っているまひるに視線を向けた。まひるもまた、何事か考えるような表情で正面を見つめている。まひるも、同じことでなやんでいるのだろうか・・・広瀬は、ふとそんなことが頭をよぎった。
「ん?なあに?」
広瀬の視線に気がついたまひるが、広瀬の方を向き、小首をかしげながら聞いた。広瀬はあわてて正面に眼をやると首を振った。
「いえ・・・その・・・何でもありません。」
広瀬は自分の鼓動が速くなるのを感じながら、そう答えた。まひるは少しさびしそうな表情を作りながら、また正面に眼を移した。夏の風景が流れていくのを見ながら、まひるはまた同じことを思っていた。自分の気持はどうなんだろう。広瀬とこのままずっとこんな時間を過ごしていきたい。その気持ちには変わりなかった。そして、その言葉は今度は自分が言う番だと、また自分に言い聞かせた。
今日、そんな話ができるだろうか・・。
まひるはちらりと横目で広瀬の表情を窺った。広瀬もそう思ってくれているだろうか・・・そして、広瀬の期待に自分は添えるのだろうか・・・まひるの脳裏には同じ言葉かくるくると回っていた。
やがて、車は遊園地の駐車場に滑り込んだ。夏休みということもあって、かなりの人手のようだ。駐車場もほぼ満杯に近い状態だった。
広瀬はあいているスペースを見つけると、車をゆっくりとそこに収める。
「つきましたよ、まひるさん。」
「うん。」
そう言ってまひるはドアを開ける。広瀬もドアをあけて外に出ると、リモコンで車のキーをロックする。そのとき、まひるが口を開いた。
「あのさ・・・広瀬君・・・」
「え・・・なんですか?」
広瀬はきょとんとして真昼を見つめた。
「お願があるんだけど・・・・。」
「なんです?できることなら、何でもしますよ。」
そう広瀬が答えても、まひるはしばらく口を閉ざしていた。しかし、やがて思いきるようにまひるが口を開いた。
「今日一日でいいから、わたしのこと『まひるさん』じゃなくて、『まひる』って、呼んでくれないかな。できれば敬語もやめて、普通に話してほしい・・・。お願いできるかな?」
広瀬は、それを聞いて返答に困った。まひるはなぜこんなことを急に言いだしたのだろう・・・広瀬は不思議に思った。まひるにしてみれば、そうして気楽に呼んでもらうことで、すこしでも自分が自分の気持ちを伝えられそうな気がしたのだが。
「はい、わかりました・・・まひる・・・・。」
広瀬は少し遠慮がちに、まひるの名を呼び捨てにした。その言葉にまひるは嬉しそうにほほ笑むと、言った。
「ありがと。わたしも、広瀬君じゃなくて『守』でいい?」
「もちろん。」
まだ少々ぎこちなかったが、広瀬は敬語を使わずにそう明るく答えた。
~つづく~
広瀬はまひると一緒に郊外の遊園地へとデートに出かけていた。その日は広瀬が自分の車でドライブもかねて、遊園地へと向かっていた。
広瀬もまた、あれからずっとまひるとの付き合いのことをずっと考えていた。自分はまひるが好きだ。でも、自分はもしまひると結婚することになったら、まひるを支えることができるような人間なのだろうか・・。広瀬はそれでずっと頭を悩ませていた。なによりもまひるが、そこまで自分を必要としてくれているのか、まだ自信が持てなかった。
広瀬は運転をしながら、隣の助手席に座っているまひるに視線を向けた。まひるもまた、何事か考えるような表情で正面を見つめている。まひるも、同じことでなやんでいるのだろうか・・・広瀬は、ふとそんなことが頭をよぎった。
「ん?なあに?」
広瀬の視線に気がついたまひるが、広瀬の方を向き、小首をかしげながら聞いた。広瀬はあわてて正面に眼をやると首を振った。
「いえ・・・その・・・何でもありません。」
広瀬は自分の鼓動が速くなるのを感じながら、そう答えた。まひるは少しさびしそうな表情を作りながら、また正面に眼を移した。夏の風景が流れていくのを見ながら、まひるはまた同じことを思っていた。自分の気持はどうなんだろう。広瀬とこのままずっとこんな時間を過ごしていきたい。その気持ちには変わりなかった。そして、その言葉は今度は自分が言う番だと、また自分に言い聞かせた。
今日、そんな話ができるだろうか・・。
まひるはちらりと横目で広瀬の表情を窺った。広瀬もそう思ってくれているだろうか・・・そして、広瀬の期待に自分は添えるのだろうか・・・まひるの脳裏には同じ言葉かくるくると回っていた。
やがて、車は遊園地の駐車場に滑り込んだ。夏休みということもあって、かなりの人手のようだ。駐車場もほぼ満杯に近い状態だった。
広瀬はあいているスペースを見つけると、車をゆっくりとそこに収める。
「つきましたよ、まひるさん。」
「うん。」
そう言ってまひるはドアを開ける。広瀬もドアをあけて外に出ると、リモコンで車のキーをロックする。そのとき、まひるが口を開いた。
「あのさ・・・広瀬君・・・」
「え・・・なんですか?」
広瀬はきょとんとして真昼を見つめた。
「お願があるんだけど・・・・。」
「なんです?できることなら、何でもしますよ。」
そう広瀬が答えても、まひるはしばらく口を閉ざしていた。しかし、やがて思いきるようにまひるが口を開いた。
「今日一日でいいから、わたしのこと『まひるさん』じゃなくて、『まひる』って、呼んでくれないかな。できれば敬語もやめて、普通に話してほしい・・・。お願いできるかな?」
広瀬は、それを聞いて返答に困った。まひるはなぜこんなことを急に言いだしたのだろう・・・広瀬は不思議に思った。まひるにしてみれば、そうして気楽に呼んでもらうことで、すこしでも自分が自分の気持ちを伝えられそうな気がしたのだが。
「はい、わかりました・・・まひる・・・・。」
広瀬は少し遠慮がちに、まひるの名を呼び捨てにした。その言葉にまひるは嬉しそうにほほ笑むと、言った。
「ありがと。わたしも、広瀬君じゃなくて『守』でいい?」
「もちろん。」
まだ少々ぎこちなかったが、広瀬は敬語を使わずにそう明るく答えた。
~つづく~