まひるは、その後広瀬と別れて家に帰り着いてから、まっすぐ自分の部屋に入った。

部屋に入ると、まひるはベッドに仰向けに寝転がって天井を見つめた。




『いずれ会わなくちゃいけないでしょ?』




まひるの脳裏にひろせのあの言葉がよみがえってきた。

広瀬は大意なくそう口にしたが、まひるは本当に心臓が飛び出るような思いだった。思い出すとまた鼓動が早くなるのを感じていた。

まひるは自分はどうなんだろう・・・と、天井を見上げながら考えた。広瀬との結婚・・・そうなれればきっと幸せなんだろう・・・。そう思った。いや、今の自分にとって、広瀬は大切なかけがえのない存在になっていた。広瀬と話をしていると楽しいし、広瀬の優しい言葉にいつも救われている。

最初は、自分が広瀬の心を癒してあげたいと思って近づいたまひるだったが、今はむしろ逆の立場になっていることに、今日の一件で自分の心のうちを実感したといってもいいかもしれない。



『自分の前から消えちゃったりしないでください。』



また、広瀬の言葉がよみがえる。

あれはむしろ、まひるが広瀬に対しての思いそのものではなかったのか。自分もまったく広瀬と同じ事を考えていたのではないか。

まひるはごろりと寝返りを打って目を閉じた。

こうして付き合い始める前には、広瀬に自分に対する気持ちを告白させてしまった。今度は自分が今の気持ちを広瀬に伝える番ではないのか。今自分は広瀬とずっと一緒に暮らして生きたいと、心から思っている。でも、それを話して広瀬はどう思ってくれるだろう。かえって、彼が引いてしまうのではないか?そんな不安がまひるの気持ちのどこかで芽生え始めていた。そのときまた広瀬の声がよみがえった。


『僕は怖いんです・・・自分の気持ちを話してしまうことでまひるさんを失ってしまうことが。』


そう、自分はあのときの広瀬と同じ気持ちなのだ。話すことで広瀬がどこかに言ってしまうことを恐れている。それくらい、今の広瀬への思いが強いことを感じていた。その恐れを振り切って、広瀬は自分のことを好きだといってくれた。やはり今度は自分からそれを話す番だ。

しかしどうやって話そうか・・・。

まひるはそれを考えただけで、胸の鼓動が早くなった。そして、それを考えているうちに目がさえてしまい、まったく眠りにつくことができなくなった。そんな心の葛藤を感じたまま、まひるは次の日の朝を迎えていた。


~つづく~