そして昼休み。

事務所近くの公園のベンチで、二人は肩を並べて弁当を広げていた。広瀬が、嬉しそうに弁当をあけると、唐揚げと卵焼きの入った弁当が目に入る。

「これ、今朝作ったんですか?」

「唐揚げは冷凍だけど・・・卵焼きはちゃんと作ったよ。お茶も持ってきてるから飲んでね。」

まひるは、水筒を取り出して蓋を開けた。紙コップにそれを注ぎ、広瀬に手渡す。広瀬もそれを笑顔で受け取り、弁当に箸をつけた。

「どう?」

まひるが広瀬の顔を覗き込む。広瀬も口をもぐもぐさせながら、親指を立てて「おいしいです」と答えると、まひるは安心したように笑みを浮かべた。




「あれ?まひるは?」

事務所で江島がきょろきょろしながらまひるを探している。どうやら食事に誘うつもりらしい。しかし、まひるの隣の席では優子がひとりで弁当を食べている。

「まひるなら、さっき広瀬君と出ていったわよ。」

「え?広瀬のやつと?」

江島は信じられないというような表情で言った。

「まひる、お弁当作ってきたみたいでさぁ・・・いいなぁ、私も一緒に食事する彼氏ほしいな。」

「べ・・弁当?」

さすがに江島もこれにはショックだったらしい。いつもの軽さがどこかに吹き飛んでしまったようだ。自分の後輩に先を越されたことが、よほど堪えたようだ。




「あの、まひるさん・・・」

「ん?なあに?」

まひるは食べ終わった弁当箱を、包みなおしながら答えた。

「今日のお弁当のお返しじゃないですけど、今日の夜一緒にどうですか?」

広瀬は思い切って、自分からまひるを誘ってみた。喜んで一緒に食事をしてくれるか心配だったが、まひるの答えはそんな心配を振り払ってくれるものだった。

「わぁ、うれしい。じゃあ、仕事終わったらね。楽しみにしてるよ。」

まひるは子供のような笑顔で答えた。広瀬もほっと胸をなでおろした。なによりも、まひるが喜んでくれるのがうれしかった。自然と広瀬の顔にも笑顔があふれた。


~つづく~