一方、自分のマンションに帰った広瀬は、ベッドに横になり天井を見つめながら考えていた。

まひるはなぜここまで自分に気を使ってくれるのか?

まひるは自分のことを本当はどう思っているのか?

自分なんかとデートして、本当に楽しんでいるのか?



少なくとも、今日のまひるの様子は、デートを楽しんでいるように見えた。笑顔をいっぱいにして、楽しそうに自分に話しかけてくれた。そのときまひるの言葉が、広瀬の頭によみがえった。


『こんど、会社にもお弁当もっていってあげようかぁ?』



自分があの時「お願いします」といったら、彼女は本当に弁当を作ってきてくれるつもりだったのだろうか?ただの社交辞令ではないのか?

しかし、自分が答えを迷っているとき、まひるは今日一度だけ寂しそうな顔をした。

あの表情はなんだったのだろう・・・。



そもそも、自分はまひるのことをどう思っているのだろう。いい先輩と思っているのだろうか?仲のいいガールフレンドていどに思っているのだろうか・・・・。それとも・・・。

そこまで考えたところで、広瀬はベッドから起き上がってぶるぶると頭を振った。

自分は・・・・。まひるのことを好きになっているのではないか・・・。はじめてそんな気持ちを広瀬は自覚し始めていた。そう、自分もまひると一緒にいる時間を楽しんできている。今日のデートでも、まひると過ごすことになんら苦を感じない。むしろ、また一緒にデートをすることを楽しみにしている自分がいることに初めて気がついていた。

また、広瀬の脳裏にまひるの言葉がよみがえる。


『私と出会って何か変わった?』

『もう、知らない!ど・ん・か・ん!』


あの言葉の意味は何だったのだろう。まひるは自分に何を言ってほしかったのだろう。もしかして、まひるも自分のことを・・・・。

ちがう・・・ちがう・・・。そんなはずはない。自分みたいな頼りない人間に好意をよせる女性なんているはずがない。広瀬は自分の勘違いだと、何度も自分に言い聞かせるように自分のほほをたたいた。

でも、自分の本当の気持ちは・・・。そして、この気持ちが本当だとして、それをまひるに告げていいのか・・・広瀬は悩んだ。悩めば悩むほど広瀬は眠ることができなくなっていた。

そしていつしか、広瀬の部屋に朝の光がさしこんでいた。


~つづく~