一方、まひるは広瀬とのデートを終えて、遅い時間に帰宅していた。

「ただいま~おそくなっちゃった。」

機嫌のよさそうな声で、まひるはリビングに顔を出す。リビングには京子一人だけだ。

「あれ?お父さんは?」

「飲みに出かけてるわよ。」

京子がそう言ってにこやかにまひるを迎えた。まひるは何度か頷くといった。

「ひょっとして、この間私といったお店かな?えっと・・・カルバドス・・・だっけ?」

「そう。お友達と一緒みたいよ。」

「そっか。いいなぁ、そんな風に今になっても一緒に飲みに行けて・・。」

まひるはそう言いながら、冷蔵庫から缶ジュースを取り出す。プルタブを引いて、その缶を開けると、ぐっとそれを飲み干す。

「あなただって、デート楽しんできたんでしょ?」

京子が、まひるから送られてきたメールを携帯の画面で見せながら言った。そこには『デート楽しいよ。これから一緒に食事するから、遅くなるね。』と書かれていた。まひるは照れくさそうに笑う。

「うん。思いのほか楽しかったよ。」

まひるがゆっくりとダイニングの椅子に腰をかける。

「で?次のデートの約束もしてきたのかしら?」

「うん。今度はどこへ連れて行ってくれるのか、楽しみ。」

まひるは照れ笑いを浮かべた。

「だって、彼・・・私の今まで知っている人と、全然タイプが違うんだもの。なんか、新鮮で。」

「それ・・まひるも彼に惹かれ始めてるんじゃない?」

そう言われて、まひるが頬を赤らめる。

「そんなぁ・・違うと思うけど・・・・。」

そう言いながら、まひるは完全には否定していないようだ。事実、一日広瀬とデートして、広瀬のことをほんの少し意識したことは間違いがない。少なくともいい友達ではいれそうだと、そう思っていた。それは、父矢島に近づこうとしたもう一人のまひるの最初の気持ちと同じだということは、まひる自身気がついてはいなかったのだが。


~つづく~