あまり乗り気のしないまま、まひるは合コンの日を迎えた。優子はこのときとばかりに、おしゃれをして決めていたが、まひるは普段とあまり変わらない服装で出かけた。別に今すぐに彼氏がほしいわけでもないし、後学のために一度出てみようか・・くらいの軽い気持ちだったからだ。

待ち合わせの居酒屋の個室には、すでに4人の男性がまひるたちの到着を待っていた。長いテーブルをはさんでまひるたちは男性の向かいに座った。

まひるはその4人の男性を、眺めたが特に際立ったイケメンの男性がいるわけではない。可もなく、不可もなくといったところだろうか。

やがて、それぞれに自己紹介を始める。それぞれ4人ともスポーツマンで、大学でそれなりに活躍しているようだ。しかし、将来に関して特に固まった進路があるような感じは受けない。まひるも、自分の将来像がはっきりしているわけではないが、4人の自己紹介を受けても、とりたてて惹かれるところがある男性はいない。

なあんだ、こんなもんか・・・そうまひるは思った。

ビールが運ばれ、乾杯が始まる。4人が4人ともビールを注文し、女性陣はそれぞれ違ったサワーを注文した。個室の中にグラスを合わせる音が響く。

そして、それぞれが会話を始める。なんのことはない他愛のない会話。こんなことで、相手のよしあしがわかるはずないな・・・まひるは、少々しらけ気味だった。

正面近くに座っている男性が、まひるにもしきりに話しかけるが、まひるは生返事を繰り返していた。これだったら、女性同士でカラオケにでも行ったほうが楽しいな・・・そう思った。

時間がたつにつれて、席替えが始まる。

まひるの両隣にも男性が二人腰を下ろす。

「まひるちゃん。楽しんでる?」

ひとりの男性が声をかけてきた。いきなり名前で呼ぶなんて、なれなれしいな・・・まひるはちょっと不快感を覚えていた。

「そうそう、もっと楽しまなきゃ。」

反対側に座った男性も、お酒をすすめながら言った。

「・・・ありがと・・。」

まひるは、抑揚のない声であいたグラスを差し出す。まひるはもちろんまだ未成年であるが、お酒は友達との飲み会でもよく飲むほうである。下手な男子学生より強いくらいだ。父の矢島もお酒はかなり強いほうであるので、これも遺伝なのかな・・と、時折思っていた。

「お二人も、飲まれたらどうですか?」

そういって、まひるは薦められた焼酎の水割りを、口に運ぶと、今度は相手の男性に酒を勧める。男性にとっても、お酌をしてもらうのは気分の悪いものではない。まひるは、濃い目に焼酎を注ぐと水で割って、二人に差し出す。

「うれしいね~。じゃあ、乾杯!」

もう何回目の乾杯だろう。まひるの心の中では、完全にしらけてはいたが、調子を合わせて乾杯に応じる。二人は濃い目に作られた焼酎の水割りを、ほんの少しだけ口をつけてグラスを置いた。それを見てまひるは言った。

「あれぇ。。二人とも飲まないね。わたし、お酒の強い人のほうが好きなんだけど・・。」

まひるは、二人を徹底的に酔わせて、早く帰ろうと算段したようだ。ふたりはそのことばにまんまと引っかかった。

「いや、これくらいどうってことないよ!」

二人は競うように、一気にグラスを上げる。まひるはすぐさま二人をあおる。

「いい飲みっぷりね。じゃあ、おかわり作るね。」

まひるはさっきよりも濃い目に水割りを作り、二人に薦める。ふたりは調子に乗って、がんがんとお酒を飲み続けた。


~つづく~