「ねえ、今日はお母さん勝てるよね?」

新田にはやてが聞いた。新田が笑いながら答えた。

「おかあさんが、お前の目の前でまけるはずないだろ?それに今日の相手は青島だしな。」

新田が近くでキャッチボールしているシャークスの選手に目をやっていった。わざと聞こえるように大きな声で。すると青島はキャッチボールの手を止めて、言い返す。

「新田さん、ひどいなぁ。僕だったら勝てるみたいな言い方・・。」

「ばぁか。お前とHITOMIの対戦成績は、これまで1勝12敗。完全に相性悪いだろうが。」

「その1勝が今日かもしれないよ。」

青島はむくれながら言った。

「あ、ひとみぃ!」

バックネット裏から、一人の女性が声をかける。見ると、まだ3歳くらいの男の子を抱っこした女性が手を振っている。

「あ、晴美、来てたんだ。」

「あたりまえでしょ?親友が200勝しようっていうのに、来ないわけないでしょ?」

晴美は笑いながら答えた。横から新田が口をはさむ。

「旦那の俺の200勝のときは来なかったくせに、親友のときは来るんだな。」

新田は、ちょっと不機嫌そうに言った。

「自分の旦那は2番目。やっぱり友情でしょ?」

「おまえな・・・帰ったら覚えとけよ。」

新田は苦笑しながら言った。

「おう、田島!」

新田とひとみの話を少し離れて聞いていた田島に誰かが声をかけた。田島がふりむくと、そこにはシャークスのユニホームを着た男性が立っていた。

「あ、浅野さん。」

「元気そうだな。今日はわるいが嫁さんには簡単には勝たせないからな。」

「それ、そのまま返しますよ。」

田島は笑いながら答えた。

「しかし、この、メンバーで彼女の200勝をかけた試合になるとは思わなかった。」

「そうですね。敵味方逆でしたから、高校のときは・・。」

「そうだな。しかし、彼女もいいお母さんになったな。お前の内助の功かもしれないな、田島。」

「へんな冷やかし方しないでくださいよぉ。」

田島が頭をかきながら答えた。田島は、少し離れたところにいるひとみに声をかけた。

「そういえば、きょうははやてをつれて来いっていわれたからつれてきたけど、はやてに始球式でもやらせるつもりか?」

「う~ん、ちょっと違うなぁ。でも、始球式でサプライズがあるのはあたってるよ。」

ひとみが笑顔で答えた。

そのとき場内アナウンスが響いた。



~つづく~