その日の夜。ホテルの宴会場を借り切った西応高校。ナインと監督、そして新田と晴美がそこにいた。料理を目の前にして、小野田が口を開いた。
「みんな、本当によくやった。いろいろ長い道のりだったが、本当におめでとう。」
いつになく優しい口調で小野田が言った。全員が拍手する。
「涼風、何か話せ!」
急に小野田がひとみに何か話すようにうながす。急にふられたひとみは、戸惑いながらゆっくりと立ち上がる。
「えっと・・・みんな本当にありがとう。一度は本当に心が折れそうになったけど、みんなが支えてくれて、こんな形で優勝できるなんて思ってもみなかったよ。・・・・ジャックとのことも、乗り越えられたと思うし・・・。それも、みんなのおかげ。最高のチームメイトと一緒にプレーできて幸せ。本当にありがとう。」
ひとみはそう言って、頭を下げた。みんながその言葉に満足そうに拍手をする。
「よし、乾杯だ。浅野!」
今度は浅野に小野田が乾杯の音頭を取らせる。浅野が立ち上がる。
「みんな御苦労さん。やっと念願がかなった。みんなのチームプレーがここまで来させてくれたと思う。僕からもみんなにお礼を言いたい。ありがとう。このチームは最高のチームだった。・・・みんな今日は思いっきり騒ごう!乾杯!」
全員がグラスをあげ、「乾杯!」と、大声で言った。そこかしこで、グラスを合わせる音がする。
「よし、今日は無礼講だ!思いっきりはしゃいでよし!」
嬉しそうに小野田が言った。
速水も、武藤も、大石も、みんなが楽しそうに談笑している。そんな中、ひとみはそっと立ち上がると、網戸を静かに開けて、宴会場のそとのバルコニーに出た。それを見て、田島があとを追うように外に出る。
ひとみは何か思いを巡らしているように、空の星を見上げていた。その後ろから田島が声をかけた。
「涼風、どうした?みんなと騒がないのか?」
ひとみがゆっくりと振り返る。
「いろんなことがあったから・・・・なんとなく、そとの空気を吸いながら、今までのこと思い返してたんだ。」
「そうか・・・。」
田島はひとみのすぐ隣に立って、同じように星を見上げた。
しばらくすると、田島がまた声をかけた。
「そういえば・・・ご褒美、何がいい?」
「え?」
「ほら、言ってたろ?優勝したら、ご褒美がほしいって・・。」
そう言われて、ひとみは急にほほを赤らめた。そして、恥ずかしそうにまた空を見上げた。
「私・・・まだ、キミにこたえてなかったよね。キミの気持ちに・・・・。」
ひとみは、いつもより静かな声で言った。田島はだまってそれを聞いていた。
「キミと出会って、とっても良かったと思ってる。本当に最高の相棒になってくれた。キミがいたから、私ここまでできたんだと思う。すごく感謝してる。今日の決勝戦のとき、キミがいなかったら、わたしとっくにつぶれてた・・・。それをキミが助けてくれた。嬉しかったよ、すごく。」
ひとみは一言一言をかみしめるように言った。そして、改めて田島の方に向かってい言った。
「大好きだよ、相棒・・・。」
「え?」
今度は田島が顔を赤らめた。何を言い出すんだ急に・・・そう田島は思った。
「私のほしいご褒美・・・・それは、キミの心。これから先もずっと、野球でもプライベートでも、ずっと相棒でいてほしい。私だけの相棒になってほしい。わたしの気持ち、うけてくれるかな・・?」
田島は答えられずに顔を真っ赤にする。どう答えたらいいのかわからなかった。
ひとみは、田島のすぐ前に歩み寄ると、そっと背伸びをして田島の頬にくちびるをよせ、キスをした。
「大好きだよ・・・本当に・・・。」
ひとみは眼をうるませながら言った。
「俺もだよ・・・涼風・・。」
「・・・ひとみでいいよ、相棒・・。」
二人の視線がぶつかる。そして、ふたりはゆっくりと顔を近づける。そして、二人の唇が触れるか触れないかまで近づいた時だ。
「ばか!押すなぁ!」
武藤の声だった。ふたりがはっとしてそちらの方を見ると、網戸が大きな音を立てて外れ、数人の仲間たちが倒れこむようにバルコニーに転がりこんできた。どうやら、二人の話を聞いていたらしい。
「えっと・・・・悪気はなかったんだけどさ・・・。」
なんとか弁解しようとしている武藤。武藤の他にも、浅野・新田・大石・速水・晴美もいる。全員がばつが悪そうにしている。
その様子を見て、ひとみと田島が顔を見合わせる。そして、ひとみが再びみんなの方に眼をやると言った。
「こらぁ!のぞきなんて趣味悪いぞぉ!」
そう言いながらも、ひとみは嬉しそうにのぞいていた仲間を追いかけ始める。まっさきにつかまったのは速水だった。
「え~~!なんでいつも俺ばっかり!」
「許さないぞぉ!こらぁ!」
そう言いながら、ひとみは速水の頭を思いっきりヘッドロックで締め上げる。その様子を、笑いながら見ている浅野。それを見て、今度はひとみは浅野を追いかけ始めた。
その日の夜は、夜遅くまで最高の仲間たちの間で、楽しげな声が響き続けていた。
~つづく~
「みんな、本当によくやった。いろいろ長い道のりだったが、本当におめでとう。」
いつになく優しい口調で小野田が言った。全員が拍手する。
「涼風、何か話せ!」
急に小野田がひとみに何か話すようにうながす。急にふられたひとみは、戸惑いながらゆっくりと立ち上がる。
「えっと・・・みんな本当にありがとう。一度は本当に心が折れそうになったけど、みんなが支えてくれて、こんな形で優勝できるなんて思ってもみなかったよ。・・・・ジャックとのことも、乗り越えられたと思うし・・・。それも、みんなのおかげ。最高のチームメイトと一緒にプレーできて幸せ。本当にありがとう。」
ひとみはそう言って、頭を下げた。みんながその言葉に満足そうに拍手をする。
「よし、乾杯だ。浅野!」
今度は浅野に小野田が乾杯の音頭を取らせる。浅野が立ち上がる。
「みんな御苦労さん。やっと念願がかなった。みんなのチームプレーがここまで来させてくれたと思う。僕からもみんなにお礼を言いたい。ありがとう。このチームは最高のチームだった。・・・みんな今日は思いっきり騒ごう!乾杯!」
全員がグラスをあげ、「乾杯!」と、大声で言った。そこかしこで、グラスを合わせる音がする。
「よし、今日は無礼講だ!思いっきりはしゃいでよし!」
嬉しそうに小野田が言った。
速水も、武藤も、大石も、みんなが楽しそうに談笑している。そんな中、ひとみはそっと立ち上がると、網戸を静かに開けて、宴会場のそとのバルコニーに出た。それを見て、田島があとを追うように外に出る。
ひとみは何か思いを巡らしているように、空の星を見上げていた。その後ろから田島が声をかけた。
「涼風、どうした?みんなと騒がないのか?」
ひとみがゆっくりと振り返る。
「いろんなことがあったから・・・・なんとなく、そとの空気を吸いながら、今までのこと思い返してたんだ。」
「そうか・・・。」
田島はひとみのすぐ隣に立って、同じように星を見上げた。
しばらくすると、田島がまた声をかけた。
「そういえば・・・ご褒美、何がいい?」
「え?」
「ほら、言ってたろ?優勝したら、ご褒美がほしいって・・。」
そう言われて、ひとみは急にほほを赤らめた。そして、恥ずかしそうにまた空を見上げた。
「私・・・まだ、キミにこたえてなかったよね。キミの気持ちに・・・・。」
ひとみは、いつもより静かな声で言った。田島はだまってそれを聞いていた。
「キミと出会って、とっても良かったと思ってる。本当に最高の相棒になってくれた。キミがいたから、私ここまでできたんだと思う。すごく感謝してる。今日の決勝戦のとき、キミがいなかったら、わたしとっくにつぶれてた・・・。それをキミが助けてくれた。嬉しかったよ、すごく。」
ひとみは一言一言をかみしめるように言った。そして、改めて田島の方に向かってい言った。
「大好きだよ、相棒・・・。」
「え?」
今度は田島が顔を赤らめた。何を言い出すんだ急に・・・そう田島は思った。
「私のほしいご褒美・・・・それは、キミの心。これから先もずっと、野球でもプライベートでも、ずっと相棒でいてほしい。私だけの相棒になってほしい。わたしの気持ち、うけてくれるかな・・?」
田島は答えられずに顔を真っ赤にする。どう答えたらいいのかわからなかった。
ひとみは、田島のすぐ前に歩み寄ると、そっと背伸びをして田島の頬にくちびるをよせ、キスをした。
「大好きだよ・・・本当に・・・。」
ひとみは眼をうるませながら言った。
「俺もだよ・・・涼風・・。」
「・・・ひとみでいいよ、相棒・・。」
二人の視線がぶつかる。そして、ふたりはゆっくりと顔を近づける。そして、二人の唇が触れるか触れないかまで近づいた時だ。
「ばか!押すなぁ!」
武藤の声だった。ふたりがはっとしてそちらの方を見ると、網戸が大きな音を立てて外れ、数人の仲間たちが倒れこむようにバルコニーに転がりこんできた。どうやら、二人の話を聞いていたらしい。
「えっと・・・・悪気はなかったんだけどさ・・・。」
なんとか弁解しようとしている武藤。武藤の他にも、浅野・新田・大石・速水・晴美もいる。全員がばつが悪そうにしている。
その様子を見て、ひとみと田島が顔を見合わせる。そして、ひとみが再びみんなの方に眼をやると言った。
「こらぁ!のぞきなんて趣味悪いぞぉ!」
そう言いながらも、ひとみは嬉しそうにのぞいていた仲間を追いかけ始める。まっさきにつかまったのは速水だった。
「え~~!なんでいつも俺ばっかり!」
「許さないぞぉ!こらぁ!」
そう言いながら、ひとみは速水の頭を思いっきりヘッドロックで締め上げる。その様子を、笑いながら見ている浅野。それを見て、今度はひとみは浅野を追いかけ始めた。
その日の夜は、夜遅くまで最高の仲間たちの間で、楽しげな声が響き続けていた。
~つづく~