新田はまたPCを開けて何やら打ち込み始めた。それを晴美が横で気にしている。さっき、『楽しみたい』と言っていた人が、そばからまたデーター分析・・・言っていることとだいぶ違うな・・・そう晴美は思っていた。
「新田さん・・・まだ、データ分析ですか?楽しむんじゃなかったんですか?」
晴美が思い切って新田に言った。
「データー分析?何のことだ?」
新田はモニターを見たまま答える。
「だって、さっきから・・・・。」
そう言いながら、晴美がモニターをのぞき見る。ところが、画面にはゲームの画像がせわしなく動いていた。新田はゲームをやっていただけのようだ。
「なんだ?まだゲーム前。PCで遊んでて悪いか?」
新田が笑いながら言った。ぽかんと口を開けてモニターを見ていた晴美が、はっとして新田と目を合わせる。新田は笑いながら言った。
「ひっかかったな、晴美。」
どうやら新田は晴美をだますつもりでPCを起動させていたようだ。晴美がおもわず膨れる。
「もう・・・しらない!」
晴美がプイとむこうを向いた。しかし、すぐあることを思い出し新田に尋ねる。
「あの・・・そういえば、新田さんさっきは何を言おうとしたんです?」
「さっき?何のことだ?」
「ほらぁ、武田さんと西応の優勝確率の話をしてた時・・・・。」
「ああ、あれか・・。データーの上では西応の優勝確率は10%程度。しかし、俺の分析はこのゲームに限って言えば、当てにならないと言おうとしたのさ。」
新田の答えに、晴美は驚いた。誰よりも綿密なデーター分析を武器としている新田が、自分の分析があてにならないとはどういうことだろうか。
「涼風と初めて試合をした時からずっと、涼風はおれの分析したデーターを裏切り続けている。初めて涼風と試合をした時、俺が思っていたよりずっと野球センスが秀でていたし、予選出場をかけた試合内容も、俺の分析を上回っていた。甲子園に来てからも、まさか161キロのボールを投げるなんて想像していなかった。当初のおれの西応の優勝確率は前にも言ったが、33%。つまり7割がたは負けるってことだ。それがいま決勝の舞台まで上り詰めている。すべておれの分析が外れているんだ。」
新田は自分の分析結果をも『分析』していたのだ。自分のデータがいかに希薄だったか・・そう、今新田は思っていた。
「それに、西応のほかの選手だって、みんな俺の分析以上の結果を残している。きっとそれは、涼風のひたむきなプレーに引っ張られているからだ。だから、普段では出せない力を出せているんだと思う。そうやって仲間を引き込んでいくのが、涼風の持っている本当の『力』なのかもしれないな・・。」
新田はそう言って、PCをぱたりと締めていった。
「これはもう終わりだ。今日は本当に試合を楽しもう。ベンチの連中と一緒にな!」
そういうと新田は晴美の背中をポンとたたいた。そして、それとほぼ同時に、グランドでは両校のベンチから選手たちが飛び出してきていた。
~つづく~
「新田さん・・・まだ、データ分析ですか?楽しむんじゃなかったんですか?」
晴美が思い切って新田に言った。
「データー分析?何のことだ?」
新田はモニターを見たまま答える。
「だって、さっきから・・・・。」
そう言いながら、晴美がモニターをのぞき見る。ところが、画面にはゲームの画像がせわしなく動いていた。新田はゲームをやっていただけのようだ。
「なんだ?まだゲーム前。PCで遊んでて悪いか?」
新田が笑いながら言った。ぽかんと口を開けてモニターを見ていた晴美が、はっとして新田と目を合わせる。新田は笑いながら言った。
「ひっかかったな、晴美。」
どうやら新田は晴美をだますつもりでPCを起動させていたようだ。晴美がおもわず膨れる。
「もう・・・しらない!」
晴美がプイとむこうを向いた。しかし、すぐあることを思い出し新田に尋ねる。
「あの・・・そういえば、新田さんさっきは何を言おうとしたんです?」
「さっき?何のことだ?」
「ほらぁ、武田さんと西応の優勝確率の話をしてた時・・・・。」
「ああ、あれか・・。データーの上では西応の優勝確率は10%程度。しかし、俺の分析はこのゲームに限って言えば、当てにならないと言おうとしたのさ。」
新田の答えに、晴美は驚いた。誰よりも綿密なデーター分析を武器としている新田が、自分の分析があてにならないとはどういうことだろうか。
「涼風と初めて試合をした時からずっと、涼風はおれの分析したデーターを裏切り続けている。初めて涼風と試合をした時、俺が思っていたよりずっと野球センスが秀でていたし、予選出場をかけた試合内容も、俺の分析を上回っていた。甲子園に来てからも、まさか161キロのボールを投げるなんて想像していなかった。当初のおれの西応の優勝確率は前にも言ったが、33%。つまり7割がたは負けるってことだ。それがいま決勝の舞台まで上り詰めている。すべておれの分析が外れているんだ。」
新田は自分の分析結果をも『分析』していたのだ。自分のデータがいかに希薄だったか・・そう、今新田は思っていた。
「それに、西応のほかの選手だって、みんな俺の分析以上の結果を残している。きっとそれは、涼風のひたむきなプレーに引っ張られているからだ。だから、普段では出せない力を出せているんだと思う。そうやって仲間を引き込んでいくのが、涼風の持っている本当の『力』なのかもしれないな・・。」
新田はそう言って、PCをぱたりと締めていった。
「これはもう終わりだ。今日は本当に試合を楽しもう。ベンチの連中と一緒にな!」
そういうと新田は晴美の背中をポンとたたいた。そして、それとほぼ同時に、グランドでは両校のベンチから選手たちが飛び出してきていた。
~つづく~