決勝当日。
新田と晴美はともに入場一番乗りを果たし、最前列の席に陣取っていた。今日も武田が二人と一緒にいる。どうやら武田もまた、最後の試合を自分の目で確かめたいらしい。
いつものようにPCになにやら打ち込んでいる新田を見て、晴美が冷やかし半分で言った。
「西応の優勝確率ですか?」
「そんなもの、とっくに出てる。」
新田がそっけなく答える。
「じゃあ、教えてくださいよ。」
「聞かない方がいいぞ・・。」
新田はいつもより低い声で答える。晴美が表情を曇らせる。聞かない方がいいということは、西応は渥美中央と比べると、そうとう確率が低いのだろうか・・。晴美は少し心配になってきた。
そんな晴美の表情を見て、武田が助け船を出す。
「新田・・・彼女むくれてるぞ。何か言ってやれ。」
「何か言えって・・・優勝確率か?低いにきまってるだろ・・。」
やっぱり・・・そう、晴美は思った。
「堀部と不破が、大石と武藤の代わりに出てくることは間違いないし、二人の力は折り紙つきだ。極端な戦力ダウンにはならないが、問題は先発の9人になにかアクシデントが起きた時に変わる選手がいない。それに、大石も武藤も代打でも出れる状況じゃないだろう。それに、一番心配なのは涼風だ・・。」
「ひとみ?」
晴美がようやく口を開いた。新田が続ける。
「ああ。昨日青島との試合で力を使いはたしているだろう。それに、精神的なダメージも心配だ。さらに、涼風は責任感が強いから、自分でなんとかしようとするだろう。それが空回りしたら、打たれる可能性が強い。」
奇しくも、昨晩小野田が田島に言ったことと同じことを新田が言った。やはり新田も同じことを心配していたのだ。
「確率でだすなら、今日の場合なら10%程度。勝つとしたら打撃戦で打ち勝つしかないだろう。それがおれの分析だ。」
「俺達の試合と同じような試合になるってことか?」
武田の言葉に、新田は苦笑しながら答える。
「確率の上ではな・・・。だが・・・。」
そこまで言いかけたところで、新田は背後に人の気配を感じて振り返る。そこには見覚えのある人物が数人立っていた。新田が驚いた表情で立ち上がった。
「沖田・・・近藤・・・土方・・・。それに、青葉大付属の伊達、広瀬・・・みんな、応援に来たのか・・・!」
そう、そこにはかつて試合でひとみに負けた面々が顔をそろえていた。東京予選とひとみのテストマッチで対戦した浅川工業の沖田・近藤・土方。完全試合をあと一歩で逃した青葉大付属の伊達・大石の親友の広瀬、神戸西南高校の綾瀬・伊丹、さらに東京の予選の決勝で戦った英星高校の藤野。そして武田のチームメイトの鳥澤。見覚えのある選手たちがそこに立っていたのだ。みんないてもたってもいられなかったらしい。ひとみが決勝に進んだことで、まるで申し合わせたかのようにひとみと対戦した選手たちがここに集結したのだ。
そして、その集団の一番後ろにひときわ大きな人物が立っていた。新田は驚きを隠せなかった。
「・・・青島・・・!」
そこに立っていたのは、準決勝で敗れた山原工業の青島だったのだ。
~つづく~
新田と晴美はともに入場一番乗りを果たし、最前列の席に陣取っていた。今日も武田が二人と一緒にいる。どうやら武田もまた、最後の試合を自分の目で確かめたいらしい。
いつものようにPCになにやら打ち込んでいる新田を見て、晴美が冷やかし半分で言った。
「西応の優勝確率ですか?」
「そんなもの、とっくに出てる。」
新田がそっけなく答える。
「じゃあ、教えてくださいよ。」
「聞かない方がいいぞ・・。」
新田はいつもより低い声で答える。晴美が表情を曇らせる。聞かない方がいいということは、西応は渥美中央と比べると、そうとう確率が低いのだろうか・・。晴美は少し心配になってきた。
そんな晴美の表情を見て、武田が助け船を出す。
「新田・・・彼女むくれてるぞ。何か言ってやれ。」
「何か言えって・・・優勝確率か?低いにきまってるだろ・・。」
やっぱり・・・そう、晴美は思った。
「堀部と不破が、大石と武藤の代わりに出てくることは間違いないし、二人の力は折り紙つきだ。極端な戦力ダウンにはならないが、問題は先発の9人になにかアクシデントが起きた時に変わる選手がいない。それに、大石も武藤も代打でも出れる状況じゃないだろう。それに、一番心配なのは涼風だ・・。」
「ひとみ?」
晴美がようやく口を開いた。新田が続ける。
「ああ。昨日青島との試合で力を使いはたしているだろう。それに、精神的なダメージも心配だ。さらに、涼風は責任感が強いから、自分でなんとかしようとするだろう。それが空回りしたら、打たれる可能性が強い。」
奇しくも、昨晩小野田が田島に言ったことと同じことを新田が言った。やはり新田も同じことを心配していたのだ。
「確率でだすなら、今日の場合なら10%程度。勝つとしたら打撃戦で打ち勝つしかないだろう。それがおれの分析だ。」
「俺達の試合と同じような試合になるってことか?」
武田の言葉に、新田は苦笑しながら答える。
「確率の上ではな・・・。だが・・・。」
そこまで言いかけたところで、新田は背後に人の気配を感じて振り返る。そこには見覚えのある人物が数人立っていた。新田が驚いた表情で立ち上がった。
「沖田・・・近藤・・・土方・・・。それに、青葉大付属の伊達、広瀬・・・みんな、応援に来たのか・・・!」
そう、そこにはかつて試合でひとみに負けた面々が顔をそろえていた。東京予選とひとみのテストマッチで対戦した浅川工業の沖田・近藤・土方。完全試合をあと一歩で逃した青葉大付属の伊達・大石の親友の広瀬、神戸西南高校の綾瀬・伊丹、さらに東京の予選の決勝で戦った英星高校の藤野。そして武田のチームメイトの鳥澤。見覚えのある選手たちがそこに立っていたのだ。みんないてもたってもいられなかったらしい。ひとみが決勝に進んだことで、まるで申し合わせたかのようにひとみと対戦した選手たちがここに集結したのだ。
そして、その集団の一番後ろにひときわ大きな人物が立っていた。新田は驚きを隠せなかった。
「・・・青島・・・!」
そこに立っていたのは、準決勝で敗れた山原工業の青島だったのだ。
~つづく~