1回裏。3点を先行され、厳しいスタートとなった西応。しかし、ベンチに消沈したムードはない。むしろ選手に喝が入ったようだ。ここまで厳しい戦いをひとみの力投と打撃で勝ってきたチームに、ひとみの力に報いるためにも、とられたら取り返そうという雰囲気が逆に高まっていた。これは、監督の小野田にとってみれば嬉しい誤算ともいえた。
早速速水が得意のバントヒットで1塁に出る。そして、大石へ武田が投じた1球目、速水は早々と2塁を陥れる。
『3点とられて、意気消沈するかと思ったが・・・こいつら、ただで終わるつもりはないみたいだな。』
マウンド上の武田も、ただならぬ西応ナインの気迫を肌で感じ取っていた。
2番の大石は、3球目をライトへ流し打つ。一二塁間を抜けた打球をライトが処理したときには、もう速水がまっしぐらに本塁へ向かって走り込んでいた。ライトからボールが返ってくるが、速水がタッチをすり抜けて手でホームに触れる。
「セーフ!」
送球の間に大石が二塁へ達していた。これで2点差。そして、3番浅野を迎える。
『見てろよ、武田・・・!』
浅野も、武田に対していつも以上の闘志をむき出しにしていた。武田は、そんな浅野の気迫に押されたのか、ストライクを取ることができない。結局、フォアボールで浅野を一塁に出し、ノーアウト1塁2塁。そして、4番の武藤に打順が回る。
『ちくしょう・・・なんなんだ、こいつら・・・。』
3点の先取点を自分のバットでたたきだして、まだ2点差あるにも関わらず、武田の心の中には全く余裕がなくなっていた。そんな心理状態で、武藤が打ち取れるはずもない。武藤は3球目を強打し、打球は左中間を真っ二つに引き裂いた。
大石についで浅野もホームイン。打った武藤は一気に3塁まで進む。これで同点。西応応援団が大いに沸く。しかもまだノーアウトだ。
続く片岡が、今度はセンターに打ち上げる。センターが深いところまで追っていき、そのボールをつかんだが、3塁の武藤がタッチアップでスタートを切る。ボールは内野に帰っただけ。これで一気に逆転した西応。マウンドの武田ががっくりと肩を落とした。
ここでキャッチャーがタイムをとる。
「大丈夫か、武田?」
キャッチャーの鳥澤が武田の表情を心配そうにみやる。
「ああ、なんとかな。しかし、ここまで打たれたのは久しぶりだな・・。正直あわてたよ・・。」
武田が大きく息をついた。すこしでも気持ちを落ちつけようと言うのだろう、肩をぐるぐるとまわしながら体をほぐす。
「もう大丈夫だ。これ以上打たれてたまるものか!」
武田が自分に気合を入れなおした。
続く5番は片岡。片岡への初球、インコース高めへ威嚇ともとれるストレート。思わず片岡がのけぞってボールをよける。しかし、この一球が、逆に片岡の闘志に火をつけた。
二球目、片岡は低めの変化球を思い切り掬いあげる。ボールは高く上がり、一瞬青空の中に消える。そして、打球が再び目に飛び込んだ直後に、ボールはスタンド中段で大きくバウンドした。片岡の甲子園での初ホームラン。追加点だった。
そのあとも、西応の猛攻撃は止まらない。大高がライトへツーベースを放つと、原が送ってツーアウト3塁。つづく田島がセンター前に運んで、さらに1点追加。ひとみは、セカンドゴロに倒れて打者一巡、6点を挙げた。流れは、一気に西応に傾いた。
~つづく~
早速速水が得意のバントヒットで1塁に出る。そして、大石へ武田が投じた1球目、速水は早々と2塁を陥れる。
『3点とられて、意気消沈するかと思ったが・・・こいつら、ただで終わるつもりはないみたいだな。』
マウンド上の武田も、ただならぬ西応ナインの気迫を肌で感じ取っていた。
2番の大石は、3球目をライトへ流し打つ。一二塁間を抜けた打球をライトが処理したときには、もう速水がまっしぐらに本塁へ向かって走り込んでいた。ライトからボールが返ってくるが、速水がタッチをすり抜けて手でホームに触れる。
「セーフ!」
送球の間に大石が二塁へ達していた。これで2点差。そして、3番浅野を迎える。
『見てろよ、武田・・・!』
浅野も、武田に対していつも以上の闘志をむき出しにしていた。武田は、そんな浅野の気迫に押されたのか、ストライクを取ることができない。結局、フォアボールで浅野を一塁に出し、ノーアウト1塁2塁。そして、4番の武藤に打順が回る。
『ちくしょう・・・なんなんだ、こいつら・・・。』
3点の先取点を自分のバットでたたきだして、まだ2点差あるにも関わらず、武田の心の中には全く余裕がなくなっていた。そんな心理状態で、武藤が打ち取れるはずもない。武藤は3球目を強打し、打球は左中間を真っ二つに引き裂いた。
大石についで浅野もホームイン。打った武藤は一気に3塁まで進む。これで同点。西応応援団が大いに沸く。しかもまだノーアウトだ。
続く片岡が、今度はセンターに打ち上げる。センターが深いところまで追っていき、そのボールをつかんだが、3塁の武藤がタッチアップでスタートを切る。ボールは内野に帰っただけ。これで一気に逆転した西応。マウンドの武田ががっくりと肩を落とした。
ここでキャッチャーがタイムをとる。
「大丈夫か、武田?」
キャッチャーの鳥澤が武田の表情を心配そうにみやる。
「ああ、なんとかな。しかし、ここまで打たれたのは久しぶりだな・・。正直あわてたよ・・。」
武田が大きく息をついた。すこしでも気持ちを落ちつけようと言うのだろう、肩をぐるぐるとまわしながら体をほぐす。
「もう大丈夫だ。これ以上打たれてたまるものか!」
武田が自分に気合を入れなおした。
続く5番は片岡。片岡への初球、インコース高めへ威嚇ともとれるストレート。思わず片岡がのけぞってボールをよける。しかし、この一球が、逆に片岡の闘志に火をつけた。
二球目、片岡は低めの変化球を思い切り掬いあげる。ボールは高く上がり、一瞬青空の中に消える。そして、打球が再び目に飛び込んだ直後に、ボールはスタンド中段で大きくバウンドした。片岡の甲子園での初ホームラン。追加点だった。
そのあとも、西応の猛攻撃は止まらない。大高がライトへツーベースを放つと、原が送ってツーアウト3塁。つづく田島がセンター前に運んで、さらに1点追加。ひとみは、セカンドゴロに倒れて打者一巡、6点を挙げた。流れは、一気に西応に傾いた。
~つづく~