ベスト16進出を決めた翌日。小野田はひとみに完全休養を命じた。さすがに前回の投球では疲労のために苦しいピッチングだったため、少し休養が必要と判断したようだ。

ひとみは、その日はのんびりと過ごすことに決めた。ホテル近くを散歩しながら、昨日までの疲れをとることに専念していた。ホテルを出かけるときに、小野田がポケットマネーを出して「マッサージでも受けてこい」と言っていたが、それよりも体のケアよりも、自分の心のケアも必要だったようだ。

今は考えないようにしているが、いずれ青島とは当たるだろうとひとみは感じていた。青島にどんな過去があろうと、青島の今のプレーはなんとしても止めなくてはならない。止められるのは、やはり自分しかいない・・・そう思っていた。

そのとき、ひとみの携帯が鳴った。晴美からだ。

ひとみがメールをあける。

『やっほ~。昨日はお疲れ様。
 ほんと見ていてドキドキしちゃったよ。
 今、新田さんと一緒に神戸にいるんだけど、よかったら一緒に食事しない?
 新田さんがおごってくれるって!』

どうやら、晴美は新田とのデートを楽しんでいるようだ。ひとみが返事を打つ。


『あれ、新田さんと一緒なの?
 それじゃ、邪魔しちゃ悪いかなぁ?』

冷やかし半分で送ったメール。すぐに晴美から返事がきた。

『そ・・そんなんじゃないってばぁ!
 新田さんもひとみと話したいみたいだし、
 いいからおいでよ。
 三宮まで来たら、メールちょうだい。迎えに行くから。』

ひとみは晴美の顔を思い浮かべながら、笑みを浮かべた。ま、どちらにしても今日はゆっくりするつもりだったし、いいか・・。そう思ってひとみはメールを返した。

『おっけー。
 じゃあ、またメールするからね。』

ひとみはそれだけ打つと、駅の方へ向かって歩き出した。ひとみも新田や晴美といっしょに、今はゆっくりと時間を使おうと思っていた。

束の間の休息。

それは次の試合への大事な準備期間。これから先当たる相手はみんな強豪ばかり。明日になれば、また次の試合に向けて準備をしなくてはならない。そのためにも、今は休もう。ひとみは、足取りも軽く新田と晴美が待つ三宮へと向かった。


~つづく~