レフトがジャンプした瞬間、一瞬ボールが消えたように見えた。とったのか、ホームランなのか一瞬では区別できないくらいの微妙は打球。武藤も、1塁とホームの間で打球の行方を捜した。
ジャンプしたレフトの選手は、がっくりと膝をついた。そして、レフトの守備位置近くまで来ていた審判が大きく腕をまわした。
「ホ・・・ホ・・・ホームランだぁ!武藤、起死回生の同点ホームラン。勝負を振り出しに戻しました~!!」
実況のアナウンサーも興奮している。それほど劇的な同点ホームラン。武藤はゆっくりとベースを回って、ベンチへと戻る。ベンチでは各選手から手荒い歓迎を受ける。
「やったぁ!やったぁぁぁぁ!!」
晴美が今にも泣き出しそうに飛び上りながら喜んでいる。新田もとりあえずほっと胸をなでおろしていた。
「上がりすぎたと思ったが・・・まだ、運は見放していないようだな・・。」
「新田さん!これで流れはうちに傾きましたよね!」
晴美はまるでサヨナラ勝ちでもしたようにはしゃいでいる。しかし、新田は冷静に戦況を分析していた。
「いや・・・この回もう一点取れば別だが、延長に入ったらむしろ不利だ。」
「え?それは、ひとみが疲れているからですか?」
「それもあるが、西応は先攻だ。この回、同点どまりなら、涼風はこれからずっとサヨナラのプレッシャーと戦いながら投げなければならない。精神力が続いていればいいが・・・。」
その言葉を聞いて、晴美は一瞬不安そうな顔をする。しかし、すぐに気を取り直して言った。
「でも、いざとなれば浅野さんがいるじゃないですか。」
「いや、浅野は予選で勝ちゲームで短いイニングを一回投げただけだ。全国の予選を勝ち抜いてきた猛者相手に、いくら浅野でも簡単には抑えられないだろう。」
新田の分析は冷静そのものだったが、晴美はどうしてもっと明るくとらえてくれないのか、少し不満に思っていた。本当にこの新田という男は、西応を本当に応援してくれているのだろうか・・・。そう考えると、不安がさらに募った。
結局この回は武藤の同点弾のみで終わった。そして、9回ひとみがマウンドに上がる。
「試合は振り出し。これからもっと締めていこう。」
田島がひとみのグローブにボールを放り込みながら言った。
「そうだね・・・。がんばらないと・・・。」
そうは言ったものの、明らかにひとみの表情には疲れが見えていた。あと何回投げられるだろう・・。時々タイムを取りながら、様子を見た方がよさそうに田島は思えた。
「とにかく打たせて取るピッチングを続けて、体力を温存しながらいこう。一発さえ打たれなければ、大丈夫だ。」
田島はひとみの肩をぽんと叩いてホームへと向かった。
~つづく~
ジャンプしたレフトの選手は、がっくりと膝をついた。そして、レフトの守備位置近くまで来ていた審判が大きく腕をまわした。
「ホ・・・ホ・・・ホームランだぁ!武藤、起死回生の同点ホームラン。勝負を振り出しに戻しました~!!」
実況のアナウンサーも興奮している。それほど劇的な同点ホームラン。武藤はゆっくりとベースを回って、ベンチへと戻る。ベンチでは各選手から手荒い歓迎を受ける。
「やったぁ!やったぁぁぁぁ!!」
晴美が今にも泣き出しそうに飛び上りながら喜んでいる。新田もとりあえずほっと胸をなでおろしていた。
「上がりすぎたと思ったが・・・まだ、運は見放していないようだな・・。」
「新田さん!これで流れはうちに傾きましたよね!」
晴美はまるでサヨナラ勝ちでもしたようにはしゃいでいる。しかし、新田は冷静に戦況を分析していた。
「いや・・・この回もう一点取れば別だが、延長に入ったらむしろ不利だ。」
「え?それは、ひとみが疲れているからですか?」
「それもあるが、西応は先攻だ。この回、同点どまりなら、涼風はこれからずっとサヨナラのプレッシャーと戦いながら投げなければならない。精神力が続いていればいいが・・・。」
その言葉を聞いて、晴美は一瞬不安そうな顔をする。しかし、すぐに気を取り直して言った。
「でも、いざとなれば浅野さんがいるじゃないですか。」
「いや、浅野は予選で勝ちゲームで短いイニングを一回投げただけだ。全国の予選を勝ち抜いてきた猛者相手に、いくら浅野でも簡単には抑えられないだろう。」
新田の分析は冷静そのものだったが、晴美はどうしてもっと明るくとらえてくれないのか、少し不満に思っていた。本当にこの新田という男は、西応を本当に応援してくれているのだろうか・・・。そう考えると、不安がさらに募った。
結局この回は武藤の同点弾のみで終わった。そして、9回ひとみがマウンドに上がる。
「試合は振り出し。これからもっと締めていこう。」
田島がひとみのグローブにボールを放り込みながら言った。
「そうだね・・・。がんばらないと・・・。」
そうは言ったものの、明らかにひとみの表情には疲れが見えていた。あと何回投げられるだろう・・。時々タイムを取りながら、様子を見た方がよさそうに田島は思えた。
「とにかく打たせて取るピッチングを続けて、体力を温存しながらいこう。一発さえ打たれなければ、大丈夫だ。」
田島はひとみの肩をぽんと叩いてホームへと向かった。
~つづく~