その頃東京では新田がPCの前でなにやら作業をしていた。PCの画面には、細かな数字がずらりと並んだエクセルファイルがいくつも開かれている。
そのとき、新田の携帯が鳴った。新田はマウスに手を置いたまま、その電話を取った。
『新田か?浅野だ。』
電話口に出たのは浅野だった。新田はようやくマウスから手を離して、話し出した。
「おう、組み合わせ決まったようだな。大会初日とは、くじ運も悪くなさそうだ。」
『すまんな、こんな時間に。今何してた?』
新田は再びPCの画面に目を移した。
「今、今回の大会の各チームのデーターを分析していたところだ。予選の戦績はもちろん、練習試合のデータまで組み込んで、いまチームとしてのデータがほぼまとまったところだ。ついでに、今大会のチーム力での優勝確率まで出してあるぞ。お前のチームの確率、おしえてやろうか?」
新田は実に楽しそうな表情を浮かべながら言った。
『いや、やめておこう。楽しみがなくなる。』
「お前らしいな。で、今日は何の用だ?」
『おまえの、そのデーター分析能力を見込んで頼みがある。実は調べて欲しい選手がいるんだ。』
新田の目が光った。
「ほう・・・お前がそんなこと頼むのは珍しいな・・。どいつだ、その調べて欲しいというやつは?」
『山原工業の青島だ。実は、涼風がアメリカにいたとき、青島とは何度か対戦したらしい。そのとき、ずいぶん青島とは因縁めいた関係があったらしい。それで、気になってな。』
浅野はあえて、ひとみと青島の因縁の詳細に関しては話さなかった。話せば新田は先入観を持って青島について調べるだろう。それでは、公平な判断ができなくなると思ったからだ。
「いいだろ。俺も青島は注目していた選手の一人だ。これから個人データをまとめるところだったから、青島のを最優先で調べてやろう・・。ただし、高くつくぞ・・。」
新田は忙しくマウスを動かし、すでにエクセルにまとめてあった青島の個人データを呼び出しながら、冗談交じりに言った。浅野も電話口で苦笑を浮かべる。
『じゃあ、その前金といっては何だが、ひとつ耳寄りな情報を教えよう。』
「ほう・・・何だ?」
『涼風は青島と対戦したとき、青島を封じるために青島専用の変化球をマスターしたらしい。俺も、そのボールがどんなボールなのか知らない。しかし、田島はそのボールを受けたことがあるそうだ。』
新田のマウスに置かれた手が止まった。
「まだ、あいつ隠してた球があるってことか・・・。しかも、青島専用とはね。実に興味深い話だ。おかげで俄然やる気がでてきたぜ。」
新田は、改めてPCの画面と向き合った。
「そういうことなら、今日は徹夜してでも明日にまで仕上げてやるよ。俺もその涼風のボールが是非見てみたいからな。お前、どこかのフリーメールアドレスを持ってるか?」
『ああ、持ってる。』
「アドレスを、あとで俺の携帯にメールしておけ。そこにデーターファイルを送る。データーの量が尋常じゃないんでな・・・重たいファイルになる。でき上がり次第、お前に電話する。そうしたら、お前は近くのネットカフェでそれを受け取れ。分析した詳細は、電話で話しながら説明する。」
『すまんな・・・頼む。』
「なあに・・・たいしたことじゃない。それより、お前も早く休んで体力温存しておけ。じゃあな。」
それだけ言うと、新田は一方的に電話を切った。新田は改めてマウスをクリックする。画面には青島の顔写真の入ったプロフィールが映し出された。新田はその青島の写真に向かってつぶやいた。
「青島・・・待ってろよ。俺がお前を丸裸にしてやるからな!」
新田の手が忙しくキーボードの上で踊り始めた。
~つづく~
そのとき、新田の携帯が鳴った。新田はマウスに手を置いたまま、その電話を取った。
『新田か?浅野だ。』
電話口に出たのは浅野だった。新田はようやくマウスから手を離して、話し出した。
「おう、組み合わせ決まったようだな。大会初日とは、くじ運も悪くなさそうだ。」
『すまんな、こんな時間に。今何してた?』
新田は再びPCの画面に目を移した。
「今、今回の大会の各チームのデーターを分析していたところだ。予選の戦績はもちろん、練習試合のデータまで組み込んで、いまチームとしてのデータがほぼまとまったところだ。ついでに、今大会のチーム力での優勝確率まで出してあるぞ。お前のチームの確率、おしえてやろうか?」
新田は実に楽しそうな表情を浮かべながら言った。
『いや、やめておこう。楽しみがなくなる。』
「お前らしいな。で、今日は何の用だ?」
『おまえの、そのデーター分析能力を見込んで頼みがある。実は調べて欲しい選手がいるんだ。』
新田の目が光った。
「ほう・・・お前がそんなこと頼むのは珍しいな・・。どいつだ、その調べて欲しいというやつは?」
『山原工業の青島だ。実は、涼風がアメリカにいたとき、青島とは何度か対戦したらしい。そのとき、ずいぶん青島とは因縁めいた関係があったらしい。それで、気になってな。』
浅野はあえて、ひとみと青島の因縁の詳細に関しては話さなかった。話せば新田は先入観を持って青島について調べるだろう。それでは、公平な判断ができなくなると思ったからだ。
「いいだろ。俺も青島は注目していた選手の一人だ。これから個人データをまとめるところだったから、青島のを最優先で調べてやろう・・。ただし、高くつくぞ・・。」
新田は忙しくマウスを動かし、すでにエクセルにまとめてあった青島の個人データを呼び出しながら、冗談交じりに言った。浅野も電話口で苦笑を浮かべる。
『じゃあ、その前金といっては何だが、ひとつ耳寄りな情報を教えよう。』
「ほう・・・何だ?」
『涼風は青島と対戦したとき、青島を封じるために青島専用の変化球をマスターしたらしい。俺も、そのボールがどんなボールなのか知らない。しかし、田島はそのボールを受けたことがあるそうだ。』
新田のマウスに置かれた手が止まった。
「まだ、あいつ隠してた球があるってことか・・・。しかも、青島専用とはね。実に興味深い話だ。おかげで俄然やる気がでてきたぜ。」
新田は、改めてPCの画面と向き合った。
「そういうことなら、今日は徹夜してでも明日にまで仕上げてやるよ。俺もその涼風のボールが是非見てみたいからな。お前、どこかのフリーメールアドレスを持ってるか?」
『ああ、持ってる。』
「アドレスを、あとで俺の携帯にメールしておけ。そこにデーターファイルを送る。データーの量が尋常じゃないんでな・・・重たいファイルになる。でき上がり次第、お前に電話する。そうしたら、お前は近くのネットカフェでそれを受け取れ。分析した詳細は、電話で話しながら説明する。」
『すまんな・・・頼む。』
「なあに・・・たいしたことじゃない。それより、お前も早く休んで体力温存しておけ。じゃあな。」
それだけ言うと、新田は一方的に電話を切った。新田は改めてマウスをクリックする。画面には青島の顔写真の入ったプロフィールが映し出された。新田はその青島の写真に向かってつぶやいた。
「青島・・・待ってろよ。俺がお前を丸裸にしてやるからな!」
新田の手が忙しくキーボードの上で踊り始めた。
~つづく~