まったく信じては貰えないかもしれませんが、私がシロとであったのは紛れもない事実です。そして、一月ほどで彼がどこかへ消えてしまったのも。

物語の中とは別の形ではありますが、たしかに私は彼と出会い、彼に心の傷を癒してもらったのです。彼の姿は今でも私の目に焼きついて離れません。

人との付き合いができなくなっていたその頃、唯一の友達が彼であったことは間違いのない事実です。動物は正直で、とてもやさしく人を癒してくれます。そして言葉を交わさなくても、こちらの気持ちを理解してなぐさめてくれます。

それまでは、私は犬があまり好きではありませんでした。
いじめられっこに大きな黒い犬をけしかけられて、本当に怖い思いをしたのが原因でした。

でも、彼とであったことで私は今ここにいるのだと今でも思います。

つらいとき、悲しいとき、ふと思い出すのはやっぱり彼のことです。

もうすでに彼は天寿を全うしているでしょうが、きっと彼は私を救うために彼にとっては貴重な1月を私のために使ってくれたのだと今でも思います。

いまも多くの子供たちがいじめに苦しんでいると思います。このお話を届けることで、すこしでも私が彼に近づければいいなと、そう思います。