それからというもの、たけしくんたちはひろしくんをいじめることが少なくなりました。よほど、あのときのひろしくんの気合が怖かったのでしょう。
それはそうです。あのときは、シロを守るのに必死だったのですから。大切な友達を守るために必死になっているひろしくんの気持ちが、いじめっこたちにかなうはずがないのです。

ひろしくんは、少しづつですが学校が楽しくなってきました。
いままで、いじめられるのが怖くて近寄ってこなかったクラスメートも、だんだんひろしくんに近づいてくるようになりました。そして、少しずつですが友達もできるようになってきました。

そしてある日のことでした。

いつもどおり、ひろしくんがシロの所に行くと、どういうわけかシロの姿が見当たりません。餌入れなどはそのまま置きっぱなしです。ひろしくんは、お店のおばさんに声をかけました。

「おばさん!シロは?」

お店の中からおばさんが顔を出しました。

「ああ、シロ?昨日からいなくなっちゃったのよ。いったいどこに行ったのかねえ。」

ひろしくんは頭の中が真っ白になりました。そして、まっしぐらに公園のほうへ走り出しました。

「シロ~~シロ~~!」

ひろしくんは何度も何度もシロの名前を呼びました。
公園も、家の近くも、学校の近くまで何度も何度も探し回りました。

でも、

シロはどこにも見つかりませんでした。
シロと出会ってからちょうど1月がたとうとしているときのことでした。

「シロ・・・どこへいっちゃったの・・・。」

ひろしくんは肩を落としてすっかり元気をなくしてしまいました。
そして、
その日はひろしくんはシロを探しつかれて、倒れるように眠ってしまいました。


その夜、ひろしくんは夢を見ました。
シロの夢でした。

夢の中でシロはいつもどおりの優しい目で、じっとひろしくんを見つめていました。

「僕のことは心配しないで。また、旅に出ただけだから。僕とであったとき、ひろしくんとっても寂しそうだったけど、もう大丈夫みたいだね。いじめっこ相手に僕を守ってくれたし、学校にも友達ができたみたいだし、だからもう僕がいなくっても大丈夫だよね?」

「シロ・・・シロ、行かないで・・」

ひろしくんは夢の中のシロに何度も何度も言いました。

「僕はもう行かなきゃ。また、ひろしくんみたいに寂しい思いをしている子供たちがきっと僕を必要としてるから。だから、いかなきゃ。大丈夫、僕はいつでもひろしくんの心の中にいるからね。」

そう言ってシロはどんどん遠くへ行ってしまいました。


朝目が覚めると、ひろしくんのまくらは涙ですっかりぬれていました。

でも、

ひろしくんは何かとてもさわやかでした。

そうだ、ぼくがシロに出会ったんじゃなくて、シロがぼくを見つけてくれたんだ。シロは僕みたいに寂しい思いをしている子供たちのために、あちこち旅をしてるんだ。だから、また寂しい思いをしている子供を捜しにいったんだね。

ありがとうシロ・・・

僕は一生シロの事を忘れないからね・・

だから、シロも僕のことを忘れないでね・・

シロ・・・ぼくの一番最初で最高の友達・・・ありがとう


=おわり=