クリスマス・イブの朝。
矢島は舞浜駅の前でまひるを待っていた。日曜日ともあって、すごい人出である。イブということもあって、カップルの姿も目立っていた。

「あ~矢島君!いたいた~!」

人ごみのむこうで、まひるが必死で手を振っている。矢島も小さく手を振ってこたえる。

「ごめんね。がんばっておめかししてたら遅れちゃった。」

まひるは、白いコートでブーツをはいていた。手には大きめの手下げ袋を大事そうにかかえていた。12月ともなれば、ちょっとはだざむい。それでも、矢島はあまり寒さを感じなかった。

「大丈夫だよ。今日はディズニー・シーのほうへ行こうか。あれにも乗ってみたいし。」

矢島の指さす先には、ディズニーリゾートを周回するモノレールがあった。窓の型がミッキーマウスになっているモノレールだ。

「あ、それいい!私も乗ってみたかったんだ。」

「じゃ、決まりだね。行こうか。」

「うん!」

まひるは、矢島の晼に自分の腕をからませた。
ごく自然に、ごく当り前のように。ここにいる誰が見ても、二人は仲のよい恋人同志に見えたにちがいない。

二人は、アトラクションに乗り、いっしょに食事をし、いっしょに楽しんだ。
それは、ずっと前から二人が心通じあう二人であるかのように、二人は感じていた。半年ほどまえまでは、あれほどぎこちなかった矢島が、今はまひるといっしょにいることに幸せを感じ、楽しんでいた。

「何かほしいものがあったら言って。クリスマスプレゼントの代わりになるかどうかわからないけど。」

土産物売場を見ながら、矢島はまひるに言った。まひるは首をふる。

「気にしないで。由加利へのおみやげ探してるだけだから。それに、もうプレゼントだったらもらってるもの。」

まひるがうれしそうに答える。

「今日ここにいっしょに来てくれたのが何よりのプレゼントだよ。私はそれだけで十分。だから、矢島君もいっしょに楽しんでくれたら、それで私は幸せだよ。」

まひるの明るい笑顔。矢島はそれを見て、自分の胸の中からわきあがってくる気持をはっきりと感じた。自分は本当にまひるが好きなんだと、そう感じた。

「そうだ、まだ渡してなかったんだ。」

まひるは手さげ袋の中をさぐると、中からーつのつつみを取り出して、矢島の前にさしだした。

「メリークリスマス!私からのプレゼントだよ。」

矢島はそれをまひるから受けとる。

「ねえ、あけてみて・・。」

矢島はえんりょがちに、そのつつみを開けた。中には、緑色のあたたかそうなマフラーがはいっていた。

「ー生懸命作ったんだよ。私あんまり上手じゃないから、おかあさんに教えてもらいながら作ったんだ。気に入ってもらえるとうれしいんだけど。」

矢島はそのマフラーを自分の首に巻きつける。まひるが、それをちょっと手直ししてくれる。

「あったかいよ、ありがとう。」

矢島は初めて女の子からもらったプレゼントにどう言っていいのかわからなかった。それも大好きなまひるから・・・。

「とってもにあうよ。これからも使ってくれるとうれしいな。」

まひるはそう言いながら、まるであまえるように矢島の腕にしがみついた。

とてもここちよく、すてきな時間・・・
矢島もまひるも、これ以上ない幸福感につつまれていた。

=つづく=