私は母がそろそろ危ない状況だと兄から連絡があったので、母の病院で付き添っていた。
既に意識もなく会話を交わすこともできない。昔は体も「 ふっくら 」していたのに腕や脚の筋肉は張りもなく、ただ何かがぶら下がっているようだった。
定期的に看護師がオシメの交換と痰とりにきてくれるが、固い筒を喉に差し込むと痛さに苦しむ、喉の粘膜がその都度、傷つけられるのだから身内の私も居たたまれない気持ちであった。
実家の父親もこの病院だった。終末近くなったときも同じ痰とりで苦しんだ。数十年後には母、そして今では兄が入院している。
何故か私には夏の季節になると蝉の音で実家を思い出すのである。
