陸軍兵士の海上輸送という、日本軍事史上最も重要な兵站行動を詳細に解き明かした素晴らしい著作。

2021年第48回大佛次郎賞受賞作。

 

日清戦争、上海事変、ガダルカナル、そして8.6広島原爆投下。日本の「海の戦争」を支えた輸送基地、宇品港の3人の司令官と広島の背負った「宿命」を現存する資料を駆使して読者に語りかけてくれる。

 

何故、戦争が起き、止める機会がありながら継続されたか?

軍人以外の国民を人と思わぬ思想と「ナントカナル」の戦争計画で輸入国日本が突き進んだ愚かな政策だったような気がする。

物資・武器・兵隊などすべてを海上輸送に頼らなければいけない国家が、その輸送船すら安全に運行できなかった悲しいさまが随所に出てくる。

 

参謀本部と現場との認識かい離、今のCOVID-19との闘いを見るようである。

政策を決めて、人心を掌握し、現場を知って進めることが政策推進の要である。

今のCKVID-19対策は???残念ながら2年かかっても進化は遂げていないように感じるのは小生だけであろうか?

 

負ける戦は、このように負けるということが分かる著作【暁の宇品】副題「陸軍船舶司令官たちのヒロシマ」である。