折からのインフレによる物価高で、100円化粧品「ちふれ」が50円の値上げに踏み切った。「ちふれ」は昭和43年、「一般の化粧品は高すぎる」と考える全国地域婦人連絡協議会(全地婦連)が24種類の商品を100円で売り出したもので、「高品質、低価格」にこだわる化粧品ブランド。このころには、化粧品販売の上位5社にも食い込むほどの人気であった。数年前から、詰め替え化粧品を開発するなど価格維持に努めてきた同ブランドだが、容器や原料、流通コストの高騰を乗り切れず、ついに創業以来初の値上げに追い込まれた。100円化粧品の看板を自ら返上するという事態に、全地婦連事務局長も「『100円』の評判を守ろうとずいぶんがんばってきましたけれど、どうしようもなくて」と、無念をにじませた。しかし「ちふれ」はその後も価格と品質にこだわる基本路線を維持。誕生から約40年を経た現在も中高年層から支持され、テレビコマーシャルや雑誌などのマスメディアにより、若者層の取り込みにも意欲を見せている。