ラクダが行く!
1903年にライト兄弟が人類初の飛行を成功させて以来、ものの60年かそこらで月面への飛行が可能になる程驚異的にテクノロジーは発達した。そこから20年後、テクノロジーはさらなる発達を遂げてるんではなかったのか?!齢23のミソラでなぜに空中でこないな腸捻転になりそうな思いをせねばならんのか!?
無事に鎮火した火の鳥の中、大鷲のケンから放心した楳図かずおに変わり果てた自分の横で、ロザリオおばちゃんと発汗グンバツ!の富山のガマガエルおっさんが、居ても立っても居られない!といった様子でシャキーン!と直角に立っていた。たまたま予習してきた箇所をたまたま先生に当てられ、たまたま千載一遇の一番勝負に自信満々なドヤ顏で 答えんと構える中学生のような決意に満ちた佇まいだ。
果たして、飛行機のドアが開いた!光を求めてシャキーン!の乗客が我れ先にと争う。だが、悲しいかな、それぞれが出口よりも太い、もとい広い我ら。これではまるで針の穴からラクダを通すようなものだ。
しっかし、アメリカ人とはなんと寛容な人たちなのだろうか。 シャキーン!のラクダたちは、しまむらのカーテンをめくって、タバコを口にくわえたまま挨拶をするキャプテン プハー!に「無事に着陸してくれてありがとう!」 だの 「エクセレーント ジョブ!」だの口々に賛辞を送っている。サスペリア顔負けの恐怖を味わったばかり、そしてそのプロデューサーであるプハー!に万雷の拍手を送らんとする信じられぬ懐の深さである。
しかし、ラクダ列の最後にいた私はプハー!の目を真っ直ぐに見つめて言った。
「いーかげんにせーよ、このどアホ!!」
無論日本語である(なんといっても相手はネイティブ。英語じゃ太刀打ちできんし)。
針の穴に自分の「ろ」の字ボディをねじ込むようにしてようやく外に出る。すると背後から、誰かが叫んでいる。
「ごきげんよーーーう!元気でねー!もうサバ読むのはやめなさいよーー!!」
ビッグボディビッグヘアのオバちゃんだ。
振り向きもせず、ダッシュで50メートルほど先にある空港ビルに向かう。ドアを開けると、暖かい空気に包まれた。暖かすぎてなぜか泣けてきた。楳図かずおの頭のまま理由も分からずメソメソと泣いていると、
再登場!
「ベニコ!」
と自分の名を呼ぶ声が聞こえる。 きっとまたあのビッグボディビッグヘアのオバちゃんだ。20キロ以上もサバを読んだ差額を今更払えと言いにきたのか?
無視してメソメソ泣き続ける。
「ベニコ!ってば!いったい何泣いてるのよ!?」
うるせー!金をもらいたいのはこっちの方だ!!
オカメの泣き顔で振り返ると、そこにはビッグボディビッグヘアのオバちゃんの姿はなく、代わりにクラぶチャウダーのあの知的(風)ダイアンが腕組みして立っていた。
