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探偵・桐生一の調査メモ

元・歌舞伎町NO・1ホストから紆余曲折を経て探偵へ転身。
普段は知りえない日常の裏側を綴っていきます。

※暴力的描写があります。閲覧注意!


ホストクラブ在籍時、まあ大分前の話です。

僕が入店したばかりの頃、ずっとナンバー1を張っていてお店の看板だったY先輩がいました。

端正な顔立ちとスタイルの良さ、気品漂う振る舞いはまさに王子様といった雰囲気のY先輩。

後輩には穏やかで優しくて面倒見のいい方でした。
僕もY先輩からはスーツを戴いたり、よくご飯に連れて行ってもらったり
何度も家に泊まらせてもらったりしていて、とてもお世話になったのを覚えています。

そんなY先輩ですが後輩達に慕われる反面、
お客さん…つまり自分のモノにした女に対しては本当に鬼畜な人でした。

ある日、いつものように営業終わりにY先輩に誘われ家に泊まりに行くことになりました。

玄関を開けると「お帰り~」と声が。

声の主はY先輩の指名客であるMさんです。

Mさんは週3以上のペースでお店に通い、高額ボトルをガンガン空ける所謂“太客”です。
僕もMさんには気に入られていたようで来店時は必ずヘルプに呼ばれていました。

…………………

Y先輩はMさんの呼びかけを無視して、僕を連れてリビングへ入っていきました。

Mさんはニコニコしながら僕らの靴を揃えたりスーツをハンガーにかけたり、
飲み物を用意したり甲斐甲斐しく世話を焼いてくれていました。

僕はMさんがY先輩宅に通い妻していることは知っていたのですが
こうして初めてMさんの女性らしさというか家庭的な面を垣間見てほっこりしました。

僕は
『Y先輩、家では亭主関白なんだな~。でも愛されてるんだろうなぁ』
と微笑ましく思ったのです。

そして僕とY先輩はソファに腰を下ろして、営業の反省をしがてら暫く談笑していました。

Mさんは横でニコニコしながら黙って聞いていました。

小一時間ほど話したでしょうか、タバコを吸い終わり一息付いたY先輩は僕にこう言いました。

「お前はここに座ったまま動かないで見てて。」

『何を見るのかな?』と考える間もなく
Y先輩はおもむろに立ち上がると、助走を付けてMさんの側頭部に飛び蹴りを喰らわせました。
床に転がるMさんの髪を乱暴に掴んで
「てめえ、いつになったらウツるんだよ?」
そう冷たく言い放ったのです。

ウツるって一体?
何のことだか僕にはさっぱり理解出来ていませんでした。

続きます。