熊野神社に別れを告げて、切通を突き進みます。
長い年月を数多の人に踏み固められた土の道。
まるで岩のように堅いその道は一見すると容易く進めるように思えますが…
行けば行くほどその道程は険しくなってゆきます。
急な坂、雨に濡れ降り積もった落ち葉が、軽い気持ちで足を踏み入れた旅人に
警告します・・・気を抜いてると怪我するよ、と。
その名残なのでしょうか。
何を思いここを過ぎ行く旅人たちは石を積んだのでしょう。
旅の安全を祈りながらでしょうか。
それとも遠い昔、今より更に険しかったであろう道程で消えていった
魂への鎮魂・・・でしょうか。
それを知るのは壁面に彫られた観音様だけなのかもしれません。