アメブロの大人気ブログ『♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です』の作者が描いた渾身の1冊@自費出版
歌川たいじ『ブレイクスルー』
歌川さんと歌川さんのパートナーのツレちゃん、周囲の素敵な仲間たちの色々を綴ったコミックエッセイです。

どんな内容の本なのか知らずに読んだんですよね。
いや~。
思いがけず心にずっしり来る1冊でした叫び
もがき苦しみながらも自分の選んだ道、選ばざるを得なかった道を歩いている、愛しき人々。
どんなに上手くいかなくても、自分の人生は自分だけのもので、他の誰のものでもなくて、だからこそ必死に生きていかなきゃならない、ってことを改めて実感させて頂きました。

人生、良いことなんてたまにしかないじゃん。
でもそのたまにが、もの凄く良いことだったら、まだ生きててもいいかな、って思うよね。

週末になると男の人をお持ち帰りしているのを見つかり、大家さんにゲイ差別をうけるペロさん。絶対にわかり合えないと思っていた二人が、ペロさんが大家さんの命を救ったことを切っ掛けに、歩み寄り、その後、ドラマのような展開を迎えたり……。
偶然同じ建物に引っ越して来た、歌川さんの昔の同僚のむぽ子さんと息子のタカユキくんと旦那さん。タカユキくんは5歳にして男の子のものより女の子のものが好き。それを受け入れられなくて、タカユキくんに手を上げるようになった旦那さん。そんな旦那さんを許せないむぽ子さん。「なんで普通にできないだッ」という旦那さんに「やめてよビックリマーク 普通がそんなに偉いのはてなマーク あんたが死んだら墓碑に『普通でした』って刻んであげる」と怒鳴るむぽ子さん。
大体、普通って何なんでしょうね。多数決の多い方はてなマーク
だったら二丁目では、世間でいうところの「普通の人」が少数派ってことだよね。
あとはイランでは同性愛者は死刑。日本にいるイラン人のアリさんはゲイであることを知られ、帰国したら処刑されてしまうと聞き、日本に亡命したい、というアリさんのためにみんなが必死に動き回るエピソードが素敵だな、と。
日本は同性愛者に取って決して住みやすい国ではない、と思うので、結果はどうなったか想像はつくと思いますが。
アリさんがペロさんに後日近況を知らせる手紙を送って寄越すのですが、そこにはゲイであるがゆえに処刑された祖国の同胞(イランの方)が恋人に「君は生きろ」と書いた手紙を託したエピソードがあって、胸が痛くなりました。
正々堂々と公表出来る国もあれば、同性愛者であることを恥じて、隠れて生きなければいけない国もある。それでもみんな自分の人生を必死に生きているわけで。

「生きてるって素晴らしいキラキラ」と大声で叫ぶ程、人生に期待しているわけではない私ですが、

「こんな僕でも/いつかは幸せに/なる日が来るのかも
 しれない
 
 あきらめたくはない

 でも、その日は/今日とか/明日とか/
 あさってとかでは/ないのだろう」


と思えるようにはなりました。おかげさまで。少しだけ。
私はよく他人さまから理解し難いと言われるのですが、キミツさん(歌川さんのお友達)が結構押しメンですニコニコ
皆さん、それぞれ愛すべき人たちですけどね音譜

私とお友達ズはお互いの誕生日プレゼントに、毎年自分が好きな本を何冊か贈り合う習慣があるのですが、今年の誕生日には歌川さんの本のどれかを贈ろうかな、と思っています。

私はただの読者の一人でしかないので、もしお読みになりたい方は歌川さんのブログで詳細をご確認ください。よろしくお願いします。






(2015年07月 読了)