こんにちは。恵比寿で弁護士をしている弁護士の紺野加奈子です。

 

婚姻費用について,続きを書いていきます。

 

今日は,婚姻費用がいつの分から請求できるのか,というお話しです。

 

まず,結論から言うと,原則として,「調停を申し立てた時から」です。

なので,私は,相談・依頼を受けた場合,できる限り早急に調停申し立てを行うことにしています。

弁護士によっては,たまに,まず離婚調停を申し立ててから時期をみて婚姻費用の申し立てを行う方もいるみたいですが,

私は離婚調停申立書と婚姻費用調停申立書と同時に申し立てを行います。

 

ところで,先ほど「原則」と書きました。

婚姻費用を請求できる始期として,実務・多数説では,

正しくは「請求した時」からとされています。

なので,調停申立前であっても,メールや手紙,ライン等で養育費を請求したことを証明できる場合は,

その日を基準に婚姻費用を請求できる場合もあります。

まずは,ご自分で持っている証拠(携帯)を,絶対に消さないことが大切です。

特に機種変更する場合。

メールの履歴であれば,前の携帯電話に残っているので,問題ありませんが,

ラインの履歴は,

機種変更を上手に行わないと,前の履歴が消えてしまいます。

ラインの履歴を消さずに機種変更する手順は,ネットで調べればすぐ出てきますので,

探してみてください。

また,スクショなどして写メに残しておくのもいいと思います。

 

ちなみに,すでに離婚してしまった場合,婚姻中の婚姻費用を請求できるか,という問題もあります。

この場合,「婚姻費用」として請求することは難しいです。

ただし,過去の婚姻費用については,婚姻時の財産関係等の清算として,財産分与を求める方法で,請求することができる場合があります(神戸家審昭和37年11月5日家月15.6.69)。

裁判所は,当事者の一方が婚姻係属中に過当に負担した婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の額及び方法を定めることができるとしているからです(最判昭和53年11月14日家月31・3・83)。

ここで注意してほしいのは,「財産分与として処理する」ということです。

財産分与できる財産が相手にない場合は,請求できないことになります。

ですので,やはり一刻も早く婚姻費用調停申立が必要なのです。