弁護士ドットコム弁護士列伝 | 弁護士法人リブレのブログ

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当事務所の荒川弁護士が、弁護士ドットコム弁護士列伝の取材を受けました。

インタビュー記事は次のとおりです。




Q1.なぜ、弁護士になろうと思われたのですか?

A1. 京都の大学に通っていた頃、ちょうど京都府知事選挙が行われていました。その際に、当選した蜷川京都府知事の「憲法を暮らしに生かそうという」言葉に感銘を受けたのがきかっけです。

 私はもともと理系で、法学部に進学した理由も、親に勧められて受験したところたまたま合格したという程度だったのですが、この蜷川知事の言葉を聞いて以来、法律や憲法に改めて興味を抱くようになりました。その後、弁護士を目指している友人たちと、様々な法律論の議論を交わすうちに彼らの影響を受け、自分自身も法曹界を目指すようになりました。

法曹の中でも弁護士を選択したのは、「憲法を暮らしに生かす」という言葉を最も実践しやすく、日常生活の中で憲法を守ることを意識できると思ったからです。


Q2.今までどのようなお仕事をされてきましたか?

また、現在どのような仕事をされてきましたか?

A2. 今まで、医療過誤(内科、心臓外科、産婦人科、整形外科)、欠陥住宅問題、労働事件(残業代請求、解雇事件、セクハラ・パワハラ、差別、労災事故)、家事事件(相続、離婚、DV)などの事件を担当してきました。このうちのほとんどは、25年間継続して扱っています。

 中でも、私はもともと理系だったので、数字を扱う分野はどちらかと言うと得意だと思います。法律は文系分野だと思っていらっしゃる方も多いと思いますが、実は、弁護士業務には至る所で数学的、数字的概念が必要となります。例えば、欠陥住宅の問題では住宅の設計図を見ながら力学的、工学的な観点から問題を見つけなければいけませんし、労働事件においても、残業代請求などでは計算能力が求められます。他にも、統計的知識がなければ対応できない分野もありますし、弁護士業務の中で理系の知識を生かせていると感じる部分は多々あります。


Q3.弁護士としてお仕事をする上で意識していることは、何ですか?(信条・ポリシーなど)

A3. 社会学や経済学の視点を持った弁護士になり、マルクスやケインズ、ドラッカーにも学ぶことを意識しています。かつて、古典的自由主義のアダム・スミスは「商品を市場で競争させれば、すべての人が幸福になれる」と考えました。一方、新自由主義のフリードマンは、「すべての人は幸福にはなれない、市場が人間を選択する」と考えました。弁護士だからといって、弁護士業務に直結する部分だけを学んでいれば良いのではありません。法律は、日常生活のあらゆる場面に関係するので、弁護士は社会学や経済学などの思想も学び、経済学や哲学に関心を持たなければいけないと思います。

 また、最新の脳科学や心理学では、人間は「思いやり」の行動をしたとき幸福感が高いと証明されています。中国の故事でも「学問」とは「思いやりのある行動」をするためにあると示しています。私は、「思いやり」とは他者の幸福を願う事であると考えます。マルクスやドラッカーも同じ考えが根本にあると思っています。

 私は、弁護士としての仕事を通して、すべての人を幸せにする仕事をしたいと思っています。そのためにも、業務に直結すること以外の学問を身につけ、「思いやり」の心を忘れないことを心がけたいと思います。


Q4.弁護士として特に関心のある分野は何ですか?

A4. 私が関心のある分野は、大きく分けて3つあります。

 まずは、経済と貧困問題の問題です。具体的には、新自由主義の破綻の原因、日本の不公平税制と高所得者優遇政策によって、格差と貧困が生まれたことの原因を根本からを解明したいと思っています。格差と貧困の問題を考えるには、これを単なる現象としてとらえていたのでは解決に至りません。統計的、経済学的に考えてこの問題の根本的な原因を解明し、その上で、同じ過ちを繰り返さないよう新たな法律を定めなければいけないのです。

 また、憲法改正問題にも関心があります。これは私のライフワークであるといっても過言ではありません。私は、改憲は強者の論理で、護憲は弱者の論理であると思っています。憲法は権力者を規制し、弱者を救済するためのものですが、私に言わせてみれば、この憲法の思想は未だかつて達成されたことはありません。達成されたことがないのに改正しようとする動きがあるというのはおかしいと思います。この立場から考えると、消費税は憲法理念と矛盾しており、増税論者は改憲論者でもあるということになります。権力を買収しようとする金持ちは弱者などどうでもよく、自分たちの幸福だけを守ってもらうことに税金を使ってもらいたい上に、その税金も自分は払わないで庶民に払わせたい、ともとらえられます。消費税の本質を、憲法の観点から見直す頃で解明し、世界に例のない消費税に頼らない福祉国家の可能性を研究したいと思っています。

 3つめは、エネルギー政策の転換と環境問題の研究です。これは、現実問題として福島の原発事故があってから意識するようになりました。核兵器と原発は世界全体を不幸にします。弁護士として、賠償問題や訴訟に取り組むという活動はもちろん行っていますが、これから先も同じようなことが起きることを防ごうと考えると、新たに法律を制定するという活動も弁護士が中心となって進めなければなりません。これからは、脱原発を達成するための抑止力として、廃炉の処理をするためのマニュアルとして、そして、がれきの処理など未だ解決に至らない問題のためなど、至る所で法律の力が必要になっていきます。目の前の問題をこなしていくだけではなく、今後の未来を守るためにも、法律改正に向けた活動も積極的に行いたいと思います。


Q7. 法曹界を目指している方に向けてのアドバイス等をお願いします。

A7. 法曹にはリーガルマインドが不可欠だと言われています。 これがなければ、弁護士は単なる事件屋やクレーマーと何ら変わりはありません。

 弁護士法第1条では、弁護士の使命として、基本的人権の擁護と社会正義の実現を掲げています。その核心は「自由」すなわち自己実現による幸福の追求にあります(憲法13条「幸福追求権」)。そして、正義とは、すべての人の幸せをめざすことであり、そうした社会の実現のことを指します。私は、リーガルマインドとは、このために法律を理解し活用する意識と実践だと考えます。

 しかし、近頃は、判事・検事・弁護士それぞれの実務家から、法曹の質の低下、リーガルマインドの低下を懸念する声が出ています。どんな法律にも作られた意図や目的があります。現実社会に法律を適応するときは、その意図や目的を考えなければいけないのですが、最近は、法律の趣旨を理解せず、理屈だけになっている法曹が多々見受けられるというのです。これから法曹を目指す方には、ひとつひとつの法律がなぜつくられたのか、ひいては、何のために法律が作られたのかというところまで意識する事を忘れないでいてほしいと思います。特に、法学部出身ではない人も弁護士になりやすくなった今だからこそ、今一度リーガルマインドを意識する事が大事だと思います。是非、高いリーガルマインドとスキルを兼ね備えた法曹になってください。



<取材学生からのコメント>

荒川先生は大変知識が豊富な先生で、いろいろな分野の観点からの意見をお聞かせくださいました。特にQ4.では原発問題と法律の在り方について、とても丁寧に説明してくださったのが印象的でした。先生は、「暮らしの中に憲法を生かす」という言葉に感動して弁護士を目指されたとのことでしたが、インタビューの中でも幾度か憲法のお話になり、先生が憲法や法律の趣旨を非常に大切にされていることが伺えました。荒川先生、お忙しい中、インタビューをお受け下さり、誠にありがとうございました。



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