ノブレス・オブリージュ | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

子どもが持ってきた学校通信に「ノブレス・オブリージュ」のことが書かれていました。
高貴な人間には義務が伴うという19世紀のフランスのことわざだ、という説明付きでした。子どもによると、「鬼滅の刃」の解説らしいのですが、そこのところは私にはよく分かりませんでした。

高貴な人間は社会の模範となるべし、との社会的責任を現すものといわれています。

ノブレス・オブリージュは確かにフランスのことわざですが、そのもともとの発想は、おそらくローマ法です。

古代ローマの時代には、キケロなどが典型ですが、弁護術など人から委任を受けてする仕事は「知的活動」とされ、無償が原則でした。
法学部で契約各論・委任について学び、ローマ法について学んだとき、「民法の世界では、委任は無償が原則である。その由来はローマ法で、弁護士のような知的活動でお金を取ってはいけないからである」と教わり、衝撃を受けた記憶があります。

ただし、注釈すると、キケロやカエサルなど古代ローマ時代の雄弁術家と言われた人たちは、いうまでもなく貴族階級であり、奴隷制度のうえにアグラをかいていて、自分たちは働かなくても裕福な生活ができていたのです。だから、弁論などを無償でやっても困らなかったので、そこから、ローマ法の委任=無償の原則が出てきたのではないかと思っています。委任≠労働です。
古代ローマやフランスの貴族の人たちが、ノブレス・オブリージュ、といったとしても、「人を搾取している金持ちが偉そうなこと言うな」と反感を受けるのでは。

話を戻して、そのようなローマ法が日本の民法にも残されているため、現代日本の弁護士は、依頼者との間で委任契約書を作成し、弁護士費用について定めることにしています。
委任契約書を作成しないで弁護士費用を請求するのは、今では許されないので、委任契約書にまつわる弁護士の懲戒事例も増えています。