パート有期労働法(2) | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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パート・有期雇用社員など非正規雇用労働者と正社員との間の不合理な待遇差別を禁止するパート有期労働法8条が、4月1日から中小企業にも適用されています。

企業は不合理な待遇格差を禁止し均等待遇をしなければなりません。

では、均衡待遇は、どんな基準で考えるべきでしょうか?

実は、政府が、均等待遇のガイドラインを設けています。それを順番に説明します。

・基本給

基本給には、職務に応じて支払うもの、職業能力に応じて支払うもの、勤続に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々です。
しかし、その上で、能力・経験、業績・成果、勤続期間ごとに比べて、それぞれの趣旨・性格に照らして実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給をしなければなりません。

昇給も、勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合には、同様の職業能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給をしなければなりません。

<解説>
以上の基準は、裏を返せば、人材活用の仕組みを理由に格差をもうけることも容認されていることになります。そのため、同一労働同一賃金には近づきがたい。

  しかし、このようなガイドラインでも、人材活用の仕組みという抽象的な理由で容易に格差をもうけることは認めていません。

  ガイドラインは、「無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明にだけでは、格差をもうける理由にはならないとしています。
  職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の「客観的・具体的な実態」に照らして、不合理なものであってはならない、としているのです。

  この「客観的・具体的な実態」を証拠として出し切ることが、労働運動によって格差を是正する場合でも、裁判で格差を是正する場合でも、必要となってきます。


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