M字型カーブ | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

みなさんは、M字型カーブという言葉を聞いたことがありますか?

女性労働の特徴をあらわした言葉です。

人口にしめる労働力人口(労働力率)を年齢別に折れ線グラフでつなげると年齢階層別の労働力率の推移が分かります。

2020年版厚生労働白書より

労働力率=労働力人口(就業者+完全失業者)÷人口(%)

年齢階層を15歳から5年ごとに区切るのが一般的です。

女性の労働力率をグラフ化すると、
15~19歳の階層の労働力率は極めて低く、20~24歳の階層で75%を超える労働力率に跳ね上がり、25~29歳の階層から労働力率の値が落ち込み、35~39歳の階層でまた労働力率が上がっていき、50歳を超えるとまた労働力率が一方的に下がっていきます。

15~19歳の階層は学生なので就労者が少なく、20~24歳の階層は新卒採用されるので就労者が増え、25歳を超えると結婚・出産・育児のため退職して専業主婦となり、子育てが一段落した35歳からパート再就職するのでまた就労者が増える。

そのグラフの形が、Mの形をした折れ線グラフになるので、女性労働力の特徴としてM字型カーブ、と呼んでいるのです。

四半世紀前の、私が学生のころの労働法の講義では、欧米の階層別労働力率は男女とも台形のグラフになるのに日本や韓国は男性が台形なのに女性がM字型カーブとなることを指して、日本は雇用社会で男女平等ではなく遅れていることの重要な指標とされてきていました。

ところが、最近の階層別労働力率は、女性も台形に近づいてきています。
もう一つの特徴は、女性の労働力率が減少するのが30~34歳の階層にシフトしてきたことです。

これは、女性が仕事を辞めなくなってきたことと、晩婚化を示しているといえます。

背景には雇用機会均等政策、育児休業制度の拡充などがあります。
他方、「非婚」によって女性が辞めなくなった部分も大きい。

また、女性が非正規労働化している点はあまり改善していません。賃金カーブが上がらない状態ということです。

こういう統計グラフを眺めることは、労働問題の解決のためにも重要です。

とりわけ、SDGsなど至る所でジェンダー平等が重要視されているにもかかわらず、日本のジェンダー・ギャップ指数は世界でも低位にあります。女性労働を考える上でも、統計の分析は有用です。


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