「排水弁閉め忘れで水道代300万円弁償」の問題点 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

神戸新聞2月8日によると、兵庫県の職員が水道水をためる貯水槽の排水弁を閉め忘れたせいで約1か月間排水弁が開けっぱなしになって約600万円の損害が出ていたということです。

さらに、兵庫県が、職員を訓戒処分として、損害の半額300万円を弁償させ、今後は再発防止策として確認作業に立ち会う職員や点検の頻度を増やす、といっているとのことです。

損害賠償300万円というのは違和感があります。

労働現場でのミスは、当たり前なので、裁判例でも、賠償不要が原則となっているからです。
賠償不要原則は当然です。
なぜかといえば、仕事にミスはつきものです。労働者を使用して事業をする以上は、ある程度のミスは業務に伴って不可避であり、それは使用者が負担すべきリスクだからです。
仮に、また重大なミスをした場合でも、高額の賠償責任が発生することはまずありません。

ささいなミスでも賠償させる企業があるとすれば、それはブラック企業です。
兵庫県は、そういう意味ではブラック企業といってよいでしょう。

「税金の無駄遣いは県民の納得が得られない」と兵庫県は弁解しているようです。
しかし、税金の無駄というなら、その昔あった号泣県議のように不正に旅費請求するようなものこそきちんとすべきです。
ミスを1人の職員に押しつけるようになったら、萎縮して仕事ができなくなります。再発防止策と言っている「確認作業に立ち会う職員や点検の頻度を増やす」ことが今までなかったことこそ、兵庫県の管理責任でしょう。


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