傷病休暇のあとの職場復帰プログラム | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

弁護士の労働問題解決講座 /神戸

労働問題で活躍する弁護士が,
解雇・残業代・労災などを解決し
あなたの権利を,100%追求する
ノウハウをblogで紹介します。

弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

うつ病などをわずらって休職する人が後を絶ちません。

そのため、厚生労働省は、傷病休職のあとで職場に戻りやすくするため、使用者に対して

   職場復帰プログラム

を設けるよう指導しています。

産業医や上司たちが検討の上で、どうやって職場復帰するのか、労働者本人とも相談しながら決めていく、というのが理想的なやり方です。

職場復帰プログラムについて

NHK名古屋放送局事件(名古屋高裁H30.6.26)

を紹介します。


<事実経過>
 うつ病を繰り返した職員が傷病休職を取得。NHKは、休職中に、職場復帰を目的としたテスト勤務を行ったが、継続困難だった。

<争点>
 1)テスト勤務は違法か?
 2)テスト勤務は賃金が発生するか?

<裁判所の判断>

1)テスト勤務は違法ではない

NHKのテスト勤務は、休職者のリハビリのみを目的とするのではなく、職場復帰可否の判断をも目的とする性格がある。
テスト勤務は、休職者の作業状況を踏まえて休職事由が消滅したか否かを判断することにより、休職者の現状や職場の実態等に即した合理的な判断が可能となり、休職者にとってもリハビリ効果があり職場復帰がしやすくなるなどのメリットもある。

NHKの復帰支援プログラムの期間等も不合理なものではない。

テスト勤務は就業規則に定めがないが、必要性と相当性が認められ、休職者がテスト 勤務の実施に同意している場合にまで禁止するものではない。


2)賃金請求権はある

 テスト勤務で業務を命じられた場合にそれを拒否することは困難な状況があるから、賃金請求権が発生しないものとはいえない。

 作業が使用者の指示に従って行われ、その作業の成果を使用者が享受しているような場合等には、当該作業は、業務遂行上、使用者の指揮命令下に行われた「労働」に該当するものと解され、たとえ無給とする合意があったとしても、最低賃金法の適用により、最低賃金と同様のさだめがなされたものとして、賃金請求権が発生する。


◆この判決のポイントは、

就業規則になくても合理的な内容のテスト勤務であれば、職場復帰プログラムとしての合理性をもち、有効である、と判断したこと。
 

テスト勤務であっても無給が許されるわけではないと判断したこと。
 

にあります。

>ご質問・ご相談のメールも受けつけています。
 クリックするとメールが開きます

>無料メールマガジンを配信しています。
弁護士のテクニックなども盛り込んだおもしろい記事を予定しています。

ご期待ください。
 パソコン・スマートフォンの方はこちらから登録
 携帯電話の方はこちらから登録