働き方改革のゆくえ | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
6月に国会で「働き方改革」関連法が成立しました。
問題点は、これまで指摘してきました。
 
法律成立を受けてのおさらいと対応を考えてみます。
 
1 残業時間の上限
過労死ライン」と同じ程度の残業規制が法律で決まりました。
 
1年の上限は720時間(休日労働はのぞく)で、休日労働を含むと960時間にもなる、過労死水準=長時間残業を容認した基準です。
 
大企業は来年から、中小企業は再来年から施行されます。
 
ただし、たくさんの適用除外・猶予事業があるので、批判されています。
 
労働組合は、残業協定(36協定)の内容を今から検討する必要があります。

2 高度プロフェッショナル制度
 
労働時間規制がいっさいなくなる制度です。
 
この制度だけが、来年から全面実施されます。
 
労働時間規制よりもこちらが安倍内閣の目玉だったのか、と強く印象づけます。
 
労働者本人の同意も必要で、事後に撤回することも自由なので、きちんとチェックする必要があります。

3 勤務間インターバル
 
単なる努力義務です。
 
仕事と仕事の合間を空ける時間を決めることは、重要です。
法律で義務化することが必要ですが、政府によってごまかされました。

4 非正規労働者の労働条件格差の是正
 
6月の最高裁判決で、是正内容についてある程度の方向性が示されました。
 
法改正の施行までは、この最高裁判決が維持されます。
厚生労働省が「同一労働同一賃金ガイドライン」をまとめています。
 
実は、無期転換申込み制度を利用して有期雇用から無期雇用に転換した労働者の労働条件の是正は、法律のすき間になって実現されていません。
 
今後是正の取り組みを求める必要があります。