解雇中に他の会社でアルバイトしていたときの賃金 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

弁護士の労働問題解決講座 /神戸

労働問題で活躍する弁護士が,
解雇・残業代・労災などを解決し
あなたの権利を,100%追求する
ノウハウをblogで紹介します。

弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
新長田にある神戸飯店で、名物の「ごま団子」をいただきました。ごちそうさまでした。
 
解雇を争う方から大事な質問をいただきました。
 
「他の会社でアルバイトした場合、裁判で勝訴して職場に戻るときに勝訴するまでの賃金は全額もらえるんですか?」
 
この答えは、裁判例があります(あけぼのタクシー事件.最判S62.4.2)。
要旨を引用します。
・解雇された労働者が解雇期間中に他の職について収入を得たときは、その収入が副業的であって解雇がなくても当然に取得しうるなど特段の事情がないかぎり、債務(労働義務)をまぬがれたことにより得た利益としてこれを使用者に償還すべきであるが他方で被解雇者は解雇期間中について平均賃金の6割以上の休業手当を補償されているので、解雇期間中の賃金のうち平均賃金の6割までの部分については利益償還の対象とすることは許されない
 
分かりやすくいうと、
(1)解雇中に他の会社で働いていてそれが副業の場合、
 副業的ならば、職場復帰に際して賃金は全額もらえる
 
(2)副業的なものと言えない場合、
 実際に他の会社でもらっていた賃金額と、もとの会社の平均賃金の4割の金額を比較して、少ないほうの金額はもらうことができない
 
例示します。
Xさんが働いていたもとの会社A(解雇された会社)の賃金が100万円とします。
 
(1)Xさんのバイト先の会社Bでの仕事がAの仕事と掛け持ちできた場合
  A会社は賃金100万円を全額Xさんに払わなければならない
 
(2)B社の仕事とA社の仕事が掛け持ちできない場合
  B社の賃金が20万円だったら、A社の平均賃金の4割である40万円と比べてB社の賃金のほうが低いので、A社はXに対して、100-B社の賃金額20=80万円を支払わないといけない
 
(3)B社の賃金が80万円だったら、A社の平均賃金の4割である40万円のほうがB社の賃金より低いので、A社はXに対して、平均賃金の6割である60万円を支払わないといけない
 
となります。

実際には判断が難しい場面が多い。
 
また、私の経験でも、このような賃金控除をされたケースはありません。
ですから、事件ごとに、裁判をしながら、賃金控除の問題は考えていく必要があります。
 
詳しくは弁護士さんに問い合わせてください。