残業代の端数処理が間違っています! | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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須磨寺へ行く用事がありました。
平家物語で有名な敦盛塚があります。
 
弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
残業代の計算は、疑問が多い。
 
「会社では時間外労働の割増賃金の計算にあたって、時間外労働を毎日30分単位で切り捨てて計算していますが、おかしくありませんか?」
という質問もありました。
 
ご質問ありがとうございます。
 
さて、お答えします。
 
賃金は、全額払いの原則があります(労働基準法第24条)。
したがって、時間外の割増賃金計算にあたって、毎日の時間外労働時間数については、四捨五入や切り捨てをすることは違法です。
 
ところが、割増賃金計算上の端数処理について、次のような事務処理方法は、通達により、いずれも賃金支払の便宜上の取扱いと認められ、法違反としては取り扱われません。
 
・1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
 
・1時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
 
・1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、上記と同様に処理すること

ご質問について言えば、全額払いの原則に反し、かつ、1日ごと端数処理することは通達の例外処理にも反しており、違法です。
残業代請求が当然できます。

ところで、この例外通達は時代錯誤ではないでしょうか。
1円単位未満についての四捨五入は、現在の通貨制度ではやむをえない話です。
しかし、最初の例外扱いである、30分を境に切捨て切り上げをするのが便宜処理として許されるというのはおかしい。
エクセルなど計算機能の発達した現在においては、ぱっと計算ができますから、便宜処理をする必要もないはずです。
そろそろ通達も時代にあわせて見直すべきです。
 
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