過労事故死をなくすこと | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
今年の冬は寒く、観葉植物も枯れ出しました。ショックです。
 
さて、今回は観葉植物とも関係がある事件の話題です。
 
毎日新聞の2月8日の記事です。
バイクで通勤中に事故死した社員の遺族が、事故が起きたのは過重労働が原因だとして、会社側に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の和解が8日、横浜地裁川崎支部で成立した。橋本英史裁判長は、会社には、通勤時にも社員が過労により事故を起こさないよう安全に配慮する義務があると判断し、会社に賠償責任があるとして和解を勧告。会社が遺族に約7590万円を支払うなどの和解条項に双方が合意した。
 
 訴えていたのは、植物装飾業「グリーンディスプレイ」(東京都世田谷区)の社員だった渡辺航太さん(当時24歳)の遺族。渡辺さんは2014年4月24日朝、22時間弱の徹夜勤務後に原付きバイクで帰宅中、電柱に衝突して亡くなった。遺族は、事故は過重労働が原因で、同社は事故を予想できたのに業務軽減などの措置を怠ったなどと訴えた。【太田圭介】
 
(引用おわり)
 
過労死過労自殺は、残念ながら誰でも分かる言葉になりました。
今回話題になったのは、「過労事故死」です。
過労が原因で交通事故を起こして亡くなった事件です。
「過労事故」というと耳慣れない言葉と思います。
 
しかし、法律上は過労死の一種といえます。
中間項・因果関係が異なるだけです。
 
「過労死」は、
過労 → 脳・心臓疾患 → 死亡
 
「過労事故死」は、
過労 → 事故 → 死亡
 
法律上は、
・会社の安全配慮義務の範囲
・会社が死亡を予見できたのか
・過労と死亡との間に因果関係があるのか

が争点になります。
 
過労が原因で、ご本人自身が体調を崩したり亡くなったりすることは悲惨です。
 
また、過労が原因で交通事故を起こすと、交通事故の被害者にも悲惨です。(働かせた会社が刑事責任を問われることもあります)。
 
働き方改革」国会で、政府は残業時間の上限を決める、などと言っています。
しかし、過労死を防ぐには、残業じしんを禁止することが急務です。
 
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