更新しないという雇用契約書への対応 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
有期雇用される際に、もう更新しないという「不更新条項」が雇用契約書の中に入っていることがあります。
 
その不更新条項が問題となったホンダの裁判を紹介します。
本田技研工業事件(東京高裁平成24年9月20日判決)

この事件では、平成9年から平成20年まで、更新を続けてきた有期雇用労働者です。ただし、空白期間を若干置くようにしていました。
ところがリーマンショックが起こりました。
会社は、更新する際に、「次の期間満了後には契約を更新しない」という新しい雇用契約書を締結するよう言ってきました。労働者の能力に問題があったわけではなく、景気が悪くなったのが理由です。
労働者のほうは、やむをえず新しい雇用契約書にサインをしました。
そして、そのとおり、次の期間満了時点で雇止めになったという事件です。
 
通常であれば雇用契約継続の合理的な期待があるケースです。その場合は、雇止めにする理由が正当かどうかを裁判所が判断することになったでしょう。
ところが、今回の事件の特徴は、「更新しない」という不更新条項が入っていることです。
 
裁判所は、労働者は不更新条項を真に理解した上で雇用契約を結んでいる、と判断して労働者の訴えを認めませんでした。
雇止めにする理由が正当かどうかは問題になりませんでした。
ホンダ事件では十分説明がなされたとして、不更新条項が有効であるとされたようです。
 
このように、いったん不更新条項にサインをしてしまえば裁判所は、けっこう簡単に有効と判断するおそれがあります。
かといって、不更新条項が入った雇用契約書にサインをしなければ、直ちにクビになってしまうことも予想されます。
二者択一を迫られるので、労働者としては、困ったことになります。
 
不更新条項を提示された場合、早めに労働組合や弁護士に相談されることを望みます。
 
こうした事件を考えると、私自身は、不更新条項を入れた契約書を提示された時点でそれを突き返して雇止めを争う方法もあるのではないか、と思います。

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