電通の残業裁判で分かったこと-残業時間を法律で決めるべし! | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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異例の正式裁判になった、「電通違法残業事件」。

9月22日に東京簡易裁判所で公判があり、即日結審しました。判決は10月9日です。

 

以前の記事では、
これまでも過労自殺(過労自死)が起こっていた電通でなぜ再び同じ事件が起こったのか、その間の会社の対応について明らかになるか?
などと問題提起していました。

 

その一端が今回の裁判で分かりました。
裁判の中で明らかになった電通の対応は驚きです。

・電通は2014年に違法残業で労基署から是正勧告を受けた。
・それに対して、電通は、残業を減らすのではなく、36協定(労使協定)の上限時間を引き上げていた。
・残業の上限を引き上げることで、電通は、違法残業が合法になるようにした。

・電通は、このように、労基署の是正を受けないようにしていた。
・労基署の是正勧告を受けると公共事業の指名停止を受けるので、それを恐れていた。

 

結局、電通は、残業を減らそうとせず、その反対に、残業違法にならないよう、残業の上限を引き上げることで、今まで違法なものを合法にしていたのです。

 

電通の対応がブラック・悪質であるのは言うまでもありません。

 

残業を増やすような労使協定の改悪があったのに、労基署が動かなかったのも問題です。

 

さかのぼって考えると、電通のやり方を許したのは、法律で残業時間の上限が決まっていないからです。
残業の上限が法律で決まっていないから、協定の変更を繰り返すことでごまかすことができたのです。

 

残業時間の上限を法律で決める必要があることを、今回の、電通の対応が示しています。

 

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