財産分与は,一般的に別居時にある財産で,プラスの財産(預貯金,不動産など)とマイナスの財産(住宅ローンなど)を合算し,原則2分の1ずつわけるという方法です(一部例外はありますが,今回は省略します。)。
もちろん特有財産(親から相続した財産など)等の問題は残っておりますが。
その時,預貯金については,別居時に金額が算出されています。
では,不動産や株についてはどのように計算するのかという問題です。
不動産については,一般的に調停などになると,不動産業者の査定書を証拠として提出しています。
より適切な価値を算出するとなると,不動産鑑定士による鑑定が可能ですが,費用がかさんでしまいます。
そして,この時,不動産の時価はいつの時点を基準に考えるのか?ということがあります。
例えば長期間別居に及び,その後離婚をするとなった際,いつの時点の不動産の価額になるでしょうか。
上記のとおり,別居時の財産だから別居時点じゃないの?と思うとそういうわけではありません。
これは株についても同様です。
このような財産は,
離婚時
の価値を算出することになります。
これは,仮にそのまま不動産や株を物でもらったとしたら,離婚時点の価値をもらうことになるんだから,
お金に換算しても,物をもらった時と差が生じないようにするためです。
そのため,こういった財産は別居時と離婚時では価値が相当程度変動していることも考えられます。
また,退職金についてはどうでしょうか。
離婚する際,仕事を辞めておらず,退職金が支給されていないという場合です。
退職金が支払われることがほぼ確実という場合(どういう場合かはまたいずれ。)に財産分与の対象となります。
まだ支給されていないにもかかわらず,多額の退職金のうち,婚姻期間相当の退職金を半分にすることについて,
支払う側は相当の負担を強いられることとなります。
最も他方配偶者からすると,婚姻期間,同人を支えてきたため,当然もらえるべき権利であると考えらえます。
法律論ではこのような考え方となりますが,
実際の実務ではすべてが法律通り進むわけではありません。
財産分与額を元に,別の事情を主張し,可能な限り,依頼者にとって有利な方向へ問題解決に導くことが代理人の職務です。
そのため,離婚調停段階(交渉段階)であっても弁護士に依頼する必要性・重要性というのがそのような点にあります。