養育費という言葉は聞きなじみがある方でも,婚姻費用という言葉は意外と初耳ですということが相談を受けていると一定数あります。

 

婚姻費用とは,養育費+配偶者の生活費を合算したものです。

婚姻している以上,別居などをしたとしても,夫婦は支えあって生活する義務があります。

そのため,生活水準が同レベルになるよう,収入が多く,支払い能力がある配偶者が,もう一方の配偶者に対して,生活費を支払う必要があります(配偶者が有責配偶者である場合など一部例外もありますが。)。

 

婚姻費用が問題となるのは,夫婦仲が悪化し(離婚していない状態),別居した場合や家庭内別居している場合に,生活費を支払ってもらえないという場合が大半です。

 

そのような時,相手に支払いを求めるため,婚姻費用分担調停を申し立てることとなります。

もちろん,調停でなく,当事者間の交渉でも可能ですが,金額に折り合いがつかない場合など,調停に頼らざるを得ません。

 

婚姻費用の金額は,子供が私立学校に行っている,婚姻費用を受け取る側が住宅ローン付マンションに居住しているなどの特別な事情がない場合には,原則双方の収入に応じて月々の婚姻費用の金額が決定されます。

なお,月々の金額については,裁判所のホームページなどでおおよそどれくらいかを確認できます。

 

また,婚姻費用の支払い義務自体は,請求した時点の属する月から発生します。

例えば,5月にラインで婚姻費用の請求をした場合には,5月から発生します。

この点について,調停を申し立てた際,調停委員が,調停申立をした時点と勘違いしていることが非常に多いです。

 

5月に請求し,金額に折り合いがつかず,7月に申立となった場合,2か月分の生活費の差額が出てきます。

婚姻費用を請求する側にとっては非常に影響が大きいですので,杓子定規な調停委員がいれば,請求は○○からなので,

申立時ではないですとはっきりと言いましょう。

 

なお,婚姻費用の請求についてはもちろん口頭でもいいのですが,相手方がそんなこと言われてないといった風にとぼけてくる可能性も十分にありますので,ラインなど,客観的に請求したことがわかる証拠を残すようにしてください。

 

当事務所では離婚だけでなく,婚姻費用の請求も行っておりますので,お悩みの方は一度ご相談ください。

 

弁護士 岡