表題の書籍は,改正された新債権法の下でのおそらく最初の体系書です。
新法の下での著者の解釈論を提示するものであって,受験生が隙間時間に手を出す性質の本ではありません。研究者や実務家が相当の時間をかけて読み解くべき本といえます。脚注レベルの記述でも分析の深さ,議論の練り込みが凄いです。
資格試験の水準を大きく超える本ですが,予備校や法科大学院等で教える側は読んでおいてよい本かと思います。内容は,多くの示唆に富み,刺激的です。
早速,債権法改正に絡んで気になっていた点をいくつかピックアップして読んでみましたが,とても興味深く,思考を楽しむことができました。ともかく面白い!!
この本に出会ってしまったことによって,多くの睡眠時間が削られることは必至ですが,それを補ってあまりある知的満足感が得られる本です。
最後に,もう一度念を押しておきますが,受験生が安易な気持ちで手を出すべき本ではありません。とはいえ,崇高な趣味として,余暇の時間を本書の読み込みに充てるのは,悪くはないとは思います。
受験生向けの本としては,同じく潮見先生の『民法(全)』(有斐閣,6月下旬)が気になるところです。