今季のベンフィカはどうしようもないシーズンを送りました。順位表はこちら。
結果的にはライバルのポルトに勝ち点7をつけられました。3大クラブとの対戦では、
対ポルト 1分け1敗
対スポルティングCP 2分け
直接対決でこれだけ勝ち点(−5)を落とせば、優勝は出来ません。
FCポルトが過去に成し遂げた前人未到の5連覇には届かず、ベンフィカの連覇は4でストップ。加えて、優勝請負人フェイサのリーグ戦連続優勝は9で止まりました。いつまでたっても悔しくてしょうがないですが(優勝パレードを見るために年間チケットを買って結局1試合も観にいけなかったのもありますが笑)。↓こちらが年パス
シーズンを通じて安定感を欠きながらも、終盤まで優勝争いに絡み続けられたのも、実力ではなく単にライバルチームの躓きによるものでした。サッカー的には4-4-2から4-3-3に移行という大きな変革がありましたがそれでも、攻守のバランスは見出せずに終わりました。特にビッグマッチでは勝ち点をこぼし続けました。今季の不振の原因を以下の4点に分けて分析してみます。
①補強の失敗
②ジョナス依存
③中盤の脆弱性
④カップ戦の早期敗退
①補強の失敗
まず、補強面から。これが全ての原因と言っても過言ではないと思います。
4連覇を成し遂げた選手のうち、攻守の要が抜けました。後ろから見ていくと、
GKエデルソン(マンチェスター・シティへ)
→ブルーノ・ヴァレラ、スヴィラールが加入
多少のポカはあったものの(特に私が観た試合を中心に)、守備範囲は広く、勇敢な飛び出しでバックラインの背後をカバーし、足元も上手く(16-17シーズンのギマランイス戦を参照して下さい)、CLのドルトムント戦のようにGKエデルソンの鬼神のようなセーブで勝ちを収めた試合も多くあった昨シーズン。
今季は結局下部組織の出身で、セトゥーバルより復帰のポルトガル代表GKブルーノ・ヴァレラがコンスタントにプレーしたシーズンとなりました。
ベンフィカにとっては待望のポルトガル人正GKということで(09-10シーズンぶり)淡い期待を抱いていたベンフィキスタも少なくなかったはず。かく言う私もその1人。
しかし、
開幕当初から悲惨だった足元のプレーは改善されずゴールキックがそのままラインを割ることも1試合で複数。特にサイドのスペースに向けてフリーランをした選手を狙ってはラインを割り、チームメイトに謝っていたのが印象に残っています。
またDFラインから出たバックパスにも何度もひやひささせられました。それだけではなく、セービングにも安定感を欠き、ファンからは非難を浴び、一時はサブに降格することもありました。特にボールを弾くコース、クロスに飛び出すタイミングが来季に向けた大きな課題。ボア・ヴィスタ戦のファンブルが象徴的。
CLにおけるGKの最年少デビュー記録を更新したスヴィラール。守備が崩壊していた時期(CLバーゼル戦以降)に監督に抜擢されるものの不運なゴール(ラッシュフォードのFK、マティッチのミドル)も多くほろ苦いベンフィカデビューシーズンに。
来季は国内のクラブにレンタルが濃厚か?とささやかれています。個人的には話題先行の起用となったので、新シーズンが正念場?スヴィラールのデビュー及びルカクの神対応でベンフィカが日本でも取り上げられたのは、良い事だったかも知れませんが…。お姉さん?妹さん?のDunja Svilarさんがキレイな人で個人的にはそっちを応援?してます。余談でした笑。
パナシナイコスからギリシア系ドイツU-21代表のヴラホディモスの獲得が決まっているために来季は正GK争いにも目が離せません。GK大国のドイツから来るので期待はしています。しかし、言葉の問題もクリアする必要があるので、即レギュラーという訳にも行かないのではないかというのが
私の分析です。
また、ヴァレラに関しては1500万ユーロ以上のオファーがあれば出すとの報道も出ています。代理人メンデスの顧客なので、移籍の可能性は高い?
優勝を逃したシーズンには特定の選手がスケープゴートにされる傾向があるので(10-11ロベルト、11-12エメルソン、12-13カルロス・マルティンスなど)、それがヴァレラとなっても不思議はありません。また本人が移籍を望んでもおかしくはありません。
続いてはDFラインへ
右SBネルソン・セメード(バルセロナへ)
→ドウグラス、マト・ミロス
右サイドをアップダウンし、攻守に厚みを加え、対人の守備はお世辞にも得意とは言えないものの持ち前のスピードで広範囲をカバーしていたセメード。入れ替わるようにバルセロナから鳴り物入りで加わった?ドウグラスは攻撃面ではまずまずのプレーを見せたものの、特にリスボンダービーではMVPに選ばれるなど、しかしながら守備では明らかな穴に。そもそもプレーできるコンディションにないことが多すぎて、計算できず…返却が濃厚。意外とベンフィカの8番は外れる傾向にあり?シーズン終盤で猛アピールも虚しく終わりそうですね。
マト・ミロスは即戦力としてはカウントされておらず加入後に即レンタル。アンドレ・アルメイダはバックアッパーとしては優秀なものの、1シーズン通して見るのには耐えず…。凡庸なSBの域に留まる。来季はアンドレ・アルメイダとしっかりレギュラー争いが出来る選手の獲得をお願いします。U-20ポルトガル代表の快速右SBブッタを夏に放出した計画性のなさには呆れ、昨季からいるペドロ・ペレイラがほぼ戦力外だったのは不運としか言い様がありません。
CBリンデローフ(マンチェスターUへ)
→補強なし。
モウリーニョの指揮するユナイテッドへ移籍したリンデローフの後釜の補強はなし。これが結果的には凶とでました。
ルイザォン、ジャルデウ、リサンドロ・ロペスに、若手のルーベン・ディアスを加え頭数は揃えた今季のベンフィカ。
サイドバックもこなせる、スピードのあるCBがいなくなりどちらかといえばストッパータイプが集まりスピードのあるアタッカーに苦しめられる。ルイザォンは優勝争いから脱落する契機となったトンデラ戦の3失点に関与し、限界説も再燃。まだ契約延長の話はなし。
ジャルデウとルーベン・ディアスのコンビであればリーグ戦は乗り越えられるかもしれないが、そこに割って入るような選手が欲しくなります。来季はBチームのフェホ(フランシスコ・フェレイラ)が上がってくるのが濃厚。ここに来てアルゼンチン方面からCBの名前がポツポツ出て来てたり。
最後はCFへ
CFミトログル(マルセイユへ)
→セフェロヴィッチ、ガビゴル
ベンフィカ加入後すぐにフィットし、安定して得点を決め続けたミトログル。運動量の少なさを帳消しにする得点力、ゴール前での図太さを武器にジョナスとリーグでも屈指のアタッカー陣を形成してました。
しかし、ビッグマッチにも強いストライカーのミトログルも今季はチームへの合流が遅れ、同じレフティーのセフェロヴィッチにCFの座を奪われ、シーズンの頭に4番手に降格したことで、プライドが傷つき、マルセイユに移籍してしまいました。1500万ユーロでの放出は安すぎましたね…
セフェロヴィッチはフェイサと代理人が同じで、ミトログルと同じレフティ。ベンフィカがお得意のフリーで獲得出来た上に、スーパーカップ、リーグ開幕戦では仕上がりの良さを見せ、4試合連続ゴールを記録しました。ポストプレー、裏抜け、ニアへの飛び込みには非凡なものがあるように思えました。
結果的にはこの好調な出だしにファンも会長も騙されたのが、運の尽きでした。私もひっかかりました。
チームの不振とともに、目に見えてトーンダウン。全てのコンペティションで7ゴールではベンフィカのエースは務まらず。18年に入ってからはノーゴール。
追い討ちをかけるように4-3-3のCFにジョナスが収まってから、出場機会も激減。途中出場でも貴重なゴールは皆無。出場機会を求めるなら、来季はベンフィカにはいないでしょう…。逆に入れ替わるようにフランクフルトに加わったルカ・ヨヴィッチは26試合9ゴールと結果を残してます…。
守備に精を出し、競り合いの強さを見せますが、ゴール前のプレーの精度を上げないと、これ以上のキャリアアップは望めないでしょう。個人的には最も期待外れの選手でした。1000万ユーロからベンフィカは交渉に応じるようです。
GK、CB、右SB、CFの補強を怠ったツケはCL、国内カップ戦の早期敗退に繋がりました。
補強で当たりはMFクロヴィノヴィッチ位でしょう。ただ、加入後は怪我もありCLのリストから外すという決断をヴィトーリアは下しました。復帰後は4-4-2で徐々に出場時間を伸ばし、昨季 MVPのピッツィが霞むようなプレーを見せてくれました。
クロヴィノヴィッチのキープ力、ビジョン、攻守のリンクマンとしての能力が4-3-3への移行のキーとなりました。新システムの核としてチームの盛り返しに貢献している1月末に怪我をしたのが悔やまれます。19試合2ゴールと数字的にはやや物足りないように感じられますが左サイドに流れてセルヴィ、グリマルドと絡むプレーは相手の脅威となっていました。クロヴィノヴィッチのパフォーマンスにご興味のある方はは年始のリスボンダービーをご覧ください。
②ジョナス依存
カップ戦で3ゴール
リーグ戦で34ゴール
を記録した10番CFジョナス。シーズンを通じてコンスタントにスコアを記録。大一番のポルトガルクラシコを怪我で棒に振ったことが悔やまれます。頼れる相棒のミトログルを失い、チームの戦術変更で、得意とするセカンドトップとしてのプレーではなく、4-3-3のCFとして新境地を開拓。
前線で身体を張り、サイドに流れて起点を作り、
スペースを作り、右足でも左足でも頭でもシュートを狙い、ペースを落とすことなく得点を量産してくれました。特に力みのないシュートは教科書のようでした。ただジョナスという個への依存から脱却できず、酷使したツケが最後にまわって来たのはベンフィカには不運でした。34歳の選手にフル稼働を求めるのは無理だと分かっていながらローテーションをすることもなく起用し続けたルイ・ヴィトーリアに非はあります。
4-3-3を続けるならカルドーソのような大型でハンマータイプを見つける、4-4-2にするならジョナスの為に身体を張りつつ、大事なところで点を取れりタイプの獲得が必要となるでしょう。今のチームにいるラウール・ヒメネスはジョーカーとしては優秀ですが、エースを張るには継続性、人を使うプレーを磨く必要があるように感じられます。
ちなみにジョナスはベンフィカでは、
152試合122ゴール31アシストで1試合に1度は必ず決定的な仕事をしてることになります!脱帽。
③中盤の脆弱性
昨季のリーグMVPピッツィが今季の戦犯。昨季54試合中52試合出場し、コンフェデ杯のポルトガル代表に招集され、身体を満足に休ませられなかったこともあり、パフォーマンスは最後まで上がらず…。特にパスミスが多く、別人のようなプレーに終始。4-4-2の中盤センターを務めるにはフィジカル不足、守備でボールを奪取するなど夢のまた夢。4-3-3にシステムが変わってからは気鋭のMFクロヴィノヴィッチの影に隠れる。監督のルイ・ヴィトーリアの信頼関係が今季は仇に。メンデスが代理人なので、監督が代われば、移籍も?
④カップ戦の早期敗退
CLはバーゼル戦の0-5の敗北で全てが終わりました。汚名を晴らすチャンスになり得たリーグカップ、ポルトガルカップでも早期に姿を消し、国内リーグのみになりました。1つのコンペティションに専念することで優位に戦えるとの見方もできますが、選手層の厚い?ただ単に選手の多い、ポルトガルのチーム向きではありません。むしろ、期待の若手選手、出場機会に恵まれていない選手などを実戦で試すチャンスがなくなり、ウイングを除けば、レギュラーとサブの格差が広がりました。ディオゴ・ゴンサルヴェスもジョアン・カルバーリョもキートン・パークスも出場機会をもう少し得られれば、何かが変わっていたかもしれません。来季はヨーロッパも国内のカップ戦も出来る限り先に進んで若い選手達が成長してくれることを楽しみにしてます
長くなりましたが、4年間でなんだかんだ最後に勝ってきたことから来る会長、監督やファンの慢心、気の緩み、これまでに色々溜まってきた垢が17-18シーズンに全て出てしまったとも言えるでしょう。来季はまたリーグ優勝をして、Campeão voltou〜♪と歌えますように。優勝パレードを味わえることを楽しみに悶々とした日々を過ごしていこうと思います。
E PLURIBUS UNUM
Benfica Sempre!!