さとみさんとあゆみ先輩とさやか先生
近所の住むあゆみさんは4年生で、いつも登校時には集団を率いて、皆の安全に気を配ってくれました。
憧れはあったものの、結構怖くて、ネタに使おうとすると叱られそうで、それにスポーツが得意で活発な女子だったので、暗く湿ったエムの世界から見るととてもまぶしくて、まさにエリア外の存在でした。
4年生になると野球部に入り、体力の限り練習に励んでいるとゆっくりとエムの世界に漂うこともなくなり、集団登校からも離れたので、あゆみ先輩と会うことも少なくなっていました。
先輩の卒業式ではあまり感慨もなかったのですが、お世話になったので、集団登校の仲間と一緒に花束を贈り、先輩はかなり喜んで下さいました。
私も小学校を卒業する日を迎え、いよいよ中学生になる緊張に包まれているとあゆみさんがしばらくは一緒に登校してくれることになり、ほっとしたものでした。
中学1年の男子と中学3年の女子では子供と大人ほど精神的にも大きな差があり、私にはうるさくない、優しい保護者のようで、良かったのですが、男女一緒に登校するのはどうもまずいようで、上級生の男子から脅かされたこともありました。
あゆみ先輩に相談しようかと思いましたが、トラブルに巻き込むのがいやで、私はまたエムの世界に漂う心地よさに浸ることが多くなりました。
エムの世界にいる自分がみるとあゆみさんは胸も発達して、腰も豊かで、考えているうちにお尻に吸い込まれていくような不思議な感覚にとらわれました。
夏休み前の夕方、学校の委員会で遅くなり、いつもは通らない校舎の裏側から通学路に出ようとしたところ、上級生の女子が二人倉庫と校舎の間に座っているのが見えました。
うち一人は小学校が同じで一学年上の女子でした。
ふと気になって目を向けたのがまずかったのか、声をかけられ、恐る恐る近づくといきなり背を押されて校舎の壁に押さえつけられました。
「さっき、職員室で、私たちを見ただろう。」
そういえば、委員会の前に訪れた職員室で女子が二人叱責されていたのを見たものの、あまり気にとめていなかったので、誰なのかはわからず、スルーしたのですが、そのときに笑ってみていたからとまさに因縁をつけられたようでした。
「誤解です。お二人を見て笑ったりしていません。」
二人の髪型とスカートの短さを担任が叱っていたのをなんとなく気になって、耳だけ向けていたのが、分かっていたようで、短めのスカートを見るとつい腰に目をやってしまい、ほんの刹那エムの世界に入り込む癖があり、それが災いしたのでした。
職員室で叱られているのを気の毒に思っただけと答えても全く受け入れてもらえませんでした。
「みんなに言いふらす気でしょう。」
どう答えても許してはもらえませんでした。
「絶対に口外しないと誓わないと許さないから。」
言葉で誓いを立てたら許してもらえるかと思い、いろいろ宣言みたいに述べ連ねましたが、全く相手にされませんでした。
「じゃ、おまえにも恥ずかしくて口外できないようにしてやるわ。」
そういうと小柄な方の女子が私を突き飛ばすように転ばせました。
袋だたきにされるのかと思い、名を知っているその女子に懇願しました。
「さとみさん、お願いですから、許してください。なんでもしますから。」
「何でもするって何をするのよ。」
恐ろしくてエムの世界にも逃げ込めませんでしたが、知識だけは豊富だったので、女王様にお許しを請うときの儀式のようなものを思い出していました。
立位のさとみさんの足の甲の部分に顔を押しつけて許しを乞いました。
「そんなことをして恥ずかしくないの。」
さとみさんの足に手をやって靴を脱がせると直に足の甲に口をつけました。
「もう許してやったら。」
もう一人の名も知らぬ女生徒から助けの一言が出ましたが、いつの間にか私はエムの世界に入り込み、命令もされていないのにあゆみさんの足趾を口に含んで、吸い付いていました。
女神の覚醒(めざめ)というものをかなり後で知ったのですが、このときのさとみさんはまさに女神に覚醒されたのだと思いました。
もう一人の女生徒が慌てるように帰って行った後、さとみさんは急に優しくなりました。
「もうこれで誰にも話さないわよね。」
私はこのまま終わってしまうのが残念で、思わず余計な一言を発してしまいました。
「明日みんなにしゃべってしまいそうです。」
呆れるように見据えるあゆみさんは靴を履き、帰り支度をしていたのですが、立ち止まり、
「暴力なんか振るわないわよ。ただ、ちょっと恥ずかしい思いをさせてやっただけよ。」
「明日しゃべってしまいそうです。」
さとみさんは土下座の姿勢の私の後頭部を踏みつけました。
「女の子の足なんかなめて恥ずかしくないの。」
私は顔を上げて、斜め上を見上げてみました。
「どこ見てるのよ。」
ドスンと額に腰を下ろされ、後頭部の激痛で目の前が一瞬暗くなりました。
太ももの内側が頬に押しつけられて、身動きとれなくなり、さらに顔の上に正座されると向こう脛が頬に食い込んで痛みに身をよじりました。
あまりに痛がるのと座り心地が悪いのとで、今度は顔の上に体育座りされました。
正座されるよりましでしたが、前額部の疝痛は耐えがたく、後頭部に座布団でもおいてくれたらまだましなのに、とてもじっと耐えられる状況ではありませんでした。
頭を振っても降りていただける様子はなく、座り心地も不安定なためか、左右に前後に腰を振りながら落ち着くまでお尻をずらしているうちに丁度私の鼻がお尻に挟まれるように密着しました。
顔全体にお尻が被さり、黒いストッキングのざらつきと圧倒的なボリュームとぬくもりを感じ、痛みからも解放されたのは良かったのですが、息が苦しくなり、口でなんとか呼吸路を確保する有様でした。私が苦しんでいるのを楽しむかのように手で口を塞がれ、うめき声を上げるとやっと手を離して息継ぎができる極めてつらい状況に置かれながらも何となくその環境を受け入れたくなる不思議な思いが湧き出てきました。
このまま手を口から離してもらえなければ自分は息が詰まって死ぬんだ、それもまたうれしいかもと、後になってみると低酸素脳症で大脳の機能障害を生じ始めていたのかもしれません。
やっと安定したのに前後に腰を振られ、鼻がお尻の圧迫から少し解き放たれて、深く吸気すると埃っぽくて酸っぱい匂いと饐えた鋭利なにおいが混ざり合って一瞬気が遠くなりました。
気を取り直して、嗅ぎ回るとその極めて侵襲の強い有機的な匂いはお尻の奥深く一点から起始していることが分かりました。
怖いもの見たさのようにそこに鼻孔を重ねると思った通りのとても厳しいけれども懐かしいようなほっとするような空気に包まれました。
体育座りされたまま私は固まり、さとみさんも痛みつけているのか、休んでいるのか分からないまま、動かずにいましたが、私からは黒いストッキングしか見せず、実際にさとみさんがどこを見ているのか、何をしているのかは分かりませんでした。
どれくらい時間がたったでしょうか。
「何してるのよ。」
女性の低く、押し殺したような声が聞こえました。
私にはそれがあゆみ先輩とすぐに分かりました。
すっと腰が浮いて、私は空を見るように焦点も合わずにいると二人で小声で何かやりとりをしており、あゆみ先輩が私を見下ろしていました。
「さっさと帰りなさい。」
私はそそくさと鞄を拾い上げ、走って家に帰りました。
翌日、体育館であゆみ先輩とすれ違い、昨日のお礼を伝えると合唱部の練習が終わる頃、部室の前で待っているように言われました。
日が暮れた頃、合唱部からの歌声が消え、皆ぞろぞろと音楽室を出て帰って行くのを眺めてみるとあゆみ先輩から呼ばれました。
音楽のさやか先生がピアノに向かい、あゆみ先輩はその横で楽譜を見ていました。
「この子がそうなのね。」
私の学年は別の音楽教師が授業を持っていて、その女性の音楽教諭は男子生徒皆が気にする存在だったので、知り合いになれて、光栄でした。
「あゆみちゃん、面白いものを見せてあげるわ。」
さやか先生は立ち上がり、また座り直しました。
「あゆみちゃん、見たでしょ。分かった。」
あゆみ先輩は首をかしげ、指摘された私も何のことか全然分かりませんでした。
「こういう男子をアスマンというのよ。」
「アスマンですか。」
アスマンてなんだろうと私も不思議に思っているとさやか先生が解説を始めました。
「私が座るときにこの子どこを見ていた。」
私ははっとしました。
「私より、椅子を見ていたでしょ。気づかなかった。椅子の座面を見ていたでしょ。」
私は恥ずかしくて下を向いていました。
「こういうのをアスマンていうのよ。アスはassよ。assってお尻っていう意味よ。だから、そうね、お尻おとこ、尻男かしらね。」
あゆみ先輩は昨日見た私の姿にやっと合点がいったようで、退きながらも頷いていました。
「きみ、お名前は。」
「佐竹です。佐竹治憲です。」
「そう、じゃ、ハル君ね。」
「よ、よろしくお願いいたします。」
さやか先生はぷっと吹き出す仕草をして、あゆみ先輩に練習を始める合図をしました。
「ほら、さとみ先輩がソロのパートの練習を始めるわよ。ハル君はどうするの。」
私が先ほど見つめていた座面を先生が指さしました。
「ほら、グズグズしないで、時間がもったいないでしょ。」
そう言われてもどうして良いか分からず、先生の目を見つめていると
「あなたが一番したいと思うことをしてご覧なさい。三つ数えるうちにしないとおしまいよ。」
私は指さされたとおりにさやか先生の使っていた椅子の座面に顔を埋めて、匂いを嗅ぎ始めました。
「ハル君て変態なのね。」
さやか先生から後頭に突き刺さるような一言を浴びても、私は座面に顔を埋めていました。
あゆみ先輩がどんな目で見ているか、それが一番怖かったのですが、一度踏み切ってしまったからにはすべてさらけ出すほかありませんでした。
「変態、変態君。見込み通りね。ほら、顔埋めていないで、上見てごらん。」
顔を横向けるとさとみ先輩は石ころでも見るような目で、私を見下ろしていました。
もう取り返しのつかないところまで来たと覚悟はできていたので、悲しみなどありませんでした。
すっとさやか先生が腰掛けてきて、私は顔を横に向けたまま拘束されました。
さやか先生がピアノを弾き始め、あゆみ先生が美声をとどろかせました。
私は体重移動するさやか先生のお尻の重さとぬくもりを感じながら、両耳を座面とお尻に塞がれて、ピアノも声も籠もったようにしか聞こえませんでした。
一曲終わり、さやか先生がほんの少し腰を浮かしたのを感じ、私は素早く天井を向きました。
さやか先生はさも当然の流れとして、私の顔面を豊かなお尻に包まれ、くいっくいっとお尻を揺らし、正中部の一番深い部分に私を挟み込みました。
昨日のさとみさんの綿のパンティに厚手の黒のストッキング越しと違い、かなり薄手のさらさらのナイロンみたいなライトグレーのパンティはお尻を直に感じられるほど密着していました。
昨日さとみさんのお尻に包まれたときも今にも窒息しそうな危機的な場面なのに妙に落ち着いて現状を受け入れようとする不思議な感覚がありましたが、さやか先生のお尻はさらに豊かで、絶対に逃れられない運命のように私の心を包み込みました。
遠くでピアノをたたく音と私を呼ぶ声がする気がして、ふと目覚めました。
私はさやか先生のお尻に敷かれたまま気を失ったようで、床に寝かされ、先生とあゆみ先輩は練習に没頭しているようでした。
「お目覚めね。さあ、もう一度。ちゃんと集中しなさい。眠ったらだめでしょ。」
再び座面に上向きに頭を乗せると先生がどっかと座ってこられ、鼻も口も塞がれて、呼吸路などありませんでした。とても苦しくて足をばたつかせも許してはいただけず、頭を振っても再度組み敷かれるだけでした。
もうだめだ、気が遠くなってきたと思ったところで、隙間が作られ、肺活量いっぱいに空気を吸うと昨日のあゆみさんとは比較にならない、湿った森の中の土のような、腐臭のような粘着性の半分液体のような空気に包まれました。
一度肺に入れば、二度と消えない危険なガスに晒され、そんな中でも喜びを感じる自分はアスマン何だなと妙に納得しました。
私に半分麻酔がかかっていることをさやか先生は重々ご承知らしく、時折天の声が耳に入りました。
「ちゃんと息継ぎするのよ。全身で私を感じるのよ。」
ピアニスト、芸術家としての精神の高ぶりを鍵盤とともに尻に敷くアスマンにも表現されるお姿がそこにありました。
「ちょっと休憩しましょうか。」
あゆみ先輩は水筒のドリンクを口にされ、さやか先生は音楽室奥の控え室に一旦入られるのを私は座面に頭を乗せたまま見ていました。
このままで待つものなのか、それとも隅の方に立っているべきか、静かに教室から出て消えるべきか、あゆみ先輩をチラ見しても全然相手にしていただけず、完全に無視されているようで、狼狽えました。
「ハル君、ちょっといらっしゃい。」
控え室に入るとさやか先生は立ったまま腕組みをして、私を見つめ、
「ハル君、これから君を試してあげる。君の忠誠度と本気度を見せてちょうだい。」
「はい。」
「はいじゃ分からないわよ。私の命令は絶対よ。」
「はい。」
「なんだか拍子抜けするわね。もっと、心から私に忠誠を誓うのよ。」
「はい。」
「先生に向かうときにはいつも土下座しているのよ。額を床につけて、良いと言うまで頭を上げちゃだめ。」
「はい。」
「調子が出てきたわね。そこに正座して、上を向いて口を開けて。」
私はチョークか、雑巾みたいなものを口に入れられるのではないかと直感したのですが、そんな子供じみたことではありませんでした。
「今日は特別にタイミングを合わせてあげるから、絶対失敗するんじゃないわよ。さあ、いくわよ。」
行くわよと言われても何のことか理解できずにいたところ、正座して、上向きになって開口し、さやか先生の手が私の顎をなで、さらに上を向かされたところで、じっと目を合わせているとさやか先生が唾液を私の口に垂らしました。
「時間がないわよ。こぼしたら殺すわよ。命をかけるのよ。」
覚悟を決めるまもなく、さやか先生はスカートをさらりと落とし、私の顔面にライトグレーのパンティをあてがうと脱がずに手でずらすと私の口に真っ黒な茂みを押し当てました。
「息を整えて、むせるんじゃないわよ。」
シュパッとはじけるように射出された水流が硬口蓋に当たって跳ね返り、口中に広がり、とにかく飲み込まないとすぐにもあふれそうで、それが何なのかなど問題でなく、機械的に片付けるほかなく、息もできないまま嚥下し続けていました。
終わり方も唐突で、あふれさせることなく全部飲みきり、とにかく息が上がっていて、吐き出さないように気をつけていました。
さやか先生は黒い茂みを拭うことなく、ずらしたパンティを元通りにして、スカートを履くと控え室を出て行かれました。
「早くいらっしゃい。」
軽やかなさやか先生の声が、私に行ったことなど全然気にもしない、いつもの当たり前の行為のように感じられ、気にする必要はないんだと自分に言い聞かせることにして、私も控え室を出ました。
「さあ、練習の後半を始めましょうか。」
あゆみ先輩は控え室で行われた儀式みたいなものをご存じなのだろうか、ご存じないなら、悟られないようにしないとうつむき加減に音を立てないようにピアノのそばに行くとあゆみ先輩はすでに歌う準備ができているようで、さやか先生も私が椅子の座布団になるのを急かすような仕草を見せていました。
嘔気はないものの上向きになると胃が膨隆していて、落ち着かないのを我慢し、さやか先生のお尻を顔面一杯に受け止めると、暗闇の世界に入り込み、聴覚だけ敏感にして、あゆみ先輩の歌声をずっと聞いていました。
さやか先生は私の息が詰まる前に少しだけ腰を揺らしてかろうじて息継ぎの間隙を作ってくださり、強烈な粘着性の発酵臭の空気を与えて下さいました。
練習が終わり、さやか先生があゆみ先輩と談笑しているのを未だ座布団の体勢で聞いていると
「ハル君もお疲れ様。あゆみさんをちゃんとお送りするのよ。また明日ね。」
鼻腔はもちろん、顔全体にさやか先生のお尻のにおいが染みこんでいて、あゆみ先輩に近づくのが憚られましたが、二人が私の逡巡など全く気にしていない様子でしたので、諦めて恥を晒しながら暗い道をあゆみ先輩のおうちまでお送りしました。
「さやか先生って、いつも探しているのよね。」
「えっ、ほかにもいるんですか。」
「当たり前よ。私ももう慣れっこよ。」
私は急に涙があふれてきました。
何が悲しい、何が辛い、何が悔しいというのも分からず、ただ、もう二度と元には戻れない気がして、狼狽えていたのかもしれません。
さやか先生から飲まされたものは、もう胃で吸収していて、自分の体に溶け込んでいる訳で、二度と排除することなどできないから、自分はもうさやかせんから離れられない、離れたくないけれど、離れられないのは怖い、そう思うと涙がこぼれました。
あゆみ先輩は私の肩をポンポンと軽く叩き、慰めて下さいましたが、それなら控え室に乗り込んで、引き留めてくれたら良かったのに、そんな独りよがりな思いも抱きながら、下を向いていました。
「慰めになるか分からないけど、私3年近くさやか先生の指導を受けてるじゃない。ハル君も入れて、20人以上の男子生徒がアスマンの素質あるかもって、連れてこられたのよ。その中でね、先生のお尻に敷いてもらえたのは10人もいなかったわ。」
だから、私は選ばれた男ということでしょうか。
口だけでなく、全身からさやか先生からの頂き物が香りを立てている気がして、昨日までの自分とは違う組成になって生かされている自分に戦きました。
「初めて連れてこられた男子って、必ず控え室に連れて行かれるのよ。先生から絶対来ちゃだめって言われてるから、気にしないようにしてるけど、何度か悲鳴を聞いたわよ。ハル君は偉いわ。だから元気出してちょうだい。」
これからもっと厳しい訓練が待っているからという叱咤激励、告知なのかな考えているとアスマンと図星されたときの感覚が蘇りました。
お尻に敷いて頂いた男子が半分以下で、あの儀式でさらに脱落したのが多数となると生き残ったのは数人でしょうか。
同級生にもいるのか、上級生はもっともっと厳しい教練に耐えているのか、耐えた先に待っているのは何だろうか。
恐怖心とそれを打ち消すようなライバル心に揺れていました。
どんどん思考は深みに入り、ふと気づくと自宅に着いていて、すぐに自室に入り、鏡で顔をみて、吐息を手に吹きかけて匂いを確かめました。
鼻尖部にあゆみ先生のお尻の奥深くの匂いが強固に結合していて、それがどう拭っても取れませんでした。
入浴して、顔も鼻腔まで洗いましたが、何となくさやか先生のお尻の感触と匂いが染みこんでいて、私はもうさやか先生のお尻に同化してしまったのではないかとさえ感じていました。
家族はとっくに夕食を終えていて、私はテーブルに置かれたおにぎりをむさぼり、ジュースを飲みながら、明日の支度をしていました。
今ならスマホで自宅でも仲間とつながっていますが、昭和50年代後半ですから、連絡手段は黒電話だけで、よほどのようでもなければ夜間連絡することなどありませんでした。
それだけに空想や妄想は世界を広げ、とりわけ男子中学生など女性に対する憧れや好奇心を頭の中で膨らませて生きていたと思います。
その晩はさやか先生とあゆみ先輩との音楽室での出来事が何度も沸き立ち、なかなか寝付けませんでした。
あゆみ先生のお尻の感触は薄い布越しながらよく覚えていて、ハンカチを顔に乗せるとそのシーンが蘇り、股間が熱くなりました。
翌朝学校に行くため家を出るとさとみさんが近くの電柱の脇に立っていました。
「おとといはごめんね。」
あゆみ先輩にかなり絞られたのかと思うと申し訳ない気持ちで一杯になりました。
「職員室でみっともないとこ見られて、どうかしてたんだわ。」
「僕の方こそ、素直に謝れなくて、済みませんでした。」
学校に向かって歩きながら、
「あれからあゆみ先輩に会ったの。」
会ったどころではなかったのですが、首を横に振るとさとみさんは安心したようでした。
しばらく無言のまま私はあゆみさんの少し後ろを歩きました。
あゆみさんはかなり責められたでしょうから、私が払拭とまではいかなくても軽くしてあげなければと思いました。
「僕、さとみさんに感謝しているんです。」
ふと足を止め、さとみさんは私を振り返りました。
「僕、生意気で申し訳ありませんでした。さとみさんに叱って頂いて、反省しました。」
「違うわ、私がいきり立っていただけなのよ。」
「僕、さとみさんのおかげで、素直な気持ちになれたんです。うれしくて、だから感謝しているんです。」
「痛かったでしょ。」
「痛くなんかありません。さとみさんが僕のひねくれた心を解きほぐして下さったんだと思います。」
私があまりに真剣な顔をしたせいか、さとみさんは吹き出しそうになり、
「だってずいぶん暴れてたじゃない。」
「はじめは逃げようとしました。でも気持ちがすごくゆっくりしてきて、僕の居場所はここなんだと思ったんです。」
さとみさんは声を出して笑いました。
「ハル君の居場所は私のお尻の下なのね。」
そのとおりと思いながらもさすがに恥ずかしくて黙っていました。
学校が近づき、男女で通学というのは周囲の目も気になるので、距離を開け、登校しました。
続きます