[はじめに]
ケト原性アミノ酸(ケトげんせいアミノさん、Ketogenic amino acid)とは、脱アミノ化(アミノ基転移による場合を含む)を受けた後、炭素骨格部分が脂質代謝経路を経由して、脂肪酸やケトン体に転換されうるアミノ酸のことです。
主としてアセトアセチルCoAを経てアセチルCoAになります。
アセチルCoAはクエン酸回路に取り込まれてエネルギーを生み出すとされています。

[分類]
ヒトにおけるケト原性アミノ酸
ロイシン
リシン

ヒトにおいて、糖原性アミノ酸、ケト原性アミノ酸の両方であるアミノ酸
イソロイシン
チロシン
フェニルアラニン
トリプトファン

上記のアミノ酸を糖尿動物に投与すると,ケトン体排泄が増加するとされています。

[ケト原性アミノ酸の代謝]
ケト原性アミノ酸として代謝されるアミノ酸は、
「アセト酢酸」か「アセチルCoA」のいづれか(または両方)に変換されます。
ですが、アセト酢酸に変換されたアミノ酸も、その次に結局はアセチルCoAに変換されます。
アセチルCoAまで変換された後は、主に3つの使い道があります。
・アセチルCoAとしてその組織内でエネルギー利用
・脂肪酸に変換し血液中に流して、他の組織でエネルギー利用
・脂肪酸に変換して、脂肪組織でトリグリセリド合成

脂質代謝についてはまた別の機会にでも詳しくお話したいと思います。

[アセト酢酸になるアミノ酸とアセチルCoAなるアミノ酸]
アセト酢酸に行き着くアミノ酸は以下の5つです。
リジン・トリプトファン・フェニルアラニン・チロシン・ロイシン

アセチルCoAに行き着くアミノ酸は以下の2つです。
イソロイシン・ロイシン

[ケト原性アミノ酸の代謝経路] 

ケト原性アミノ酸の代謝経路は、以下の4種類に分類することができます。
・リジン・トリプトファンの代謝経路
・フェニルアラニン・チロシンの代謝経路
・イソロイシンの代謝経路
・ロイシンの代謝経路

以下でそれぞれ解説していきます。

[リジンとトリプトファンの代謝経路]
リジンとトリプトファンは、共に「2-オキソアジピン酸」に変換され、その後は同じ過程でアセト酢酸まで代謝されます。
トリプトファンは途中で「アラニン」を生成し、アラニンが糖原性アミノ酸として代謝されることから、
トリプトファンは糖原性アミノ酸にも数えられます。

[フェニルアラニとチロシンの代謝経路]
フェニルアラニとチロシンは、まず、「フェニルアラニン→チロシン」と変換され、
最終的に「フマル酸」と「アセト酢酸」に行き着きます。
このフマル酸は、クエン酸回路の一員で、クエン酸回路に入ってオキサロ酢酸から糖新生されます。
なので、フェニルアラニンとチロシンは、糖原性アミノ酸でもあります。


 [イソロイシンの代謝経路]
イソロイシンは「イソロイシン→プロニオルCoA→スクニシルCoA」と代謝され、
スクニシルCoAからクエン酸回路に入って、オキサロ酢酸になります。
オキサロ酢酸はその後、糖新生されるので、イソロイシンは基本的には糖原性アミノ酸です。
ですが、「プロニオルCoA→スクニシルCoA」と変換される時にアセチルCoAも合成されるため、同時にケト原性アミノ酸としても数えることができます。

[ロイシンの代謝経路]
ロイシンは、最終的には「アセト酢酸」になります。
加えて、その過程で「アセチルCoA」も生成します。
そのためロイシンは、アセト酢酸にもアセチルCoAにも代謝できる唯一のアミノ酸です。


[まとめ]
今回は、ケト原性アミノ酸の代謝について解説していきました。

・ケト原性アミノ酸は、アセト酢酸かアセチルCoAに変換される
・その後、アセチルCoAになりエネルギー利用されたり脂肪酸になったりする
・代謝経路は4種類にある


非常にマニアックな内容で、これをそのまま現場に活かすことは難しいですが、
この知識があることで、世の中に溢れる情報をよりしっかり理解して使うことができるのではないかと思います。
糖原性アミノ酸の代謝は前回の記事で解説しています。

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