タイのガモンホスピタルで性別適合手術を受けてから2年が経ちましたMtFです。
生活や仕事にも慣れてきましたが、やはりもっと女性らしくなりたいと思う部分があり、自毛植毛や声帯短縮術を受けました
女性らしさを求めて
40才から性別移行を始めたこともあり、それまでの男性ホルモンの影響で生え際が薄くなったり後退していました。仕事に行く時は生え際用のヘアーパウダーで誤魔化し(さらに髪を下ろしていた)、仕事中は帽子を被っていたので一応何とかやり過ごしていました。
髪を後ろで結ぶだけでおでこのM字が目立ってしまうので、化粧に加えて生え際のヘアーパウダーを塗り続けないといけません。それでも何かしら違和感もあるでしょうし、オフの日に買い物にいく時もパウダーを塗るか帽子をかぶらないといけません。
やっぱり女性らしい自然な生え際に憧れてしまいます。そんな時にネットで自毛植毛を知り、MtFさんの症例も見かけたので、これをやりたいと思いました。でもお値段も植毛する量によりますがそれなりに高額だし、何より新しく生えてきて自然な状態になるまでに半年以上はかかる感じでしたので、どうしたものかと思っていました。
タイミングが来た!
そんな中、仕事を辞めることになりました。苦労してやっと雇ってもらえた職場でしたが、チェーン店という事もあり定期的に店長が変わりました。そうするといつかは私のような当事者を受け入れ難い人も出てきます。直接的ではないですが、何かと圧を感じたり、シフトの面でも今後難しいなと感じ、辞めることにしました。
ひとこと言いたい場面も何度かありましたが、理解のない人に私が何か言うことでマイノリティの方全体の風評被害にならないかと考えたり、自分の立場の弱さを考えて押し殺しました。
これはもう性別変更後のリハビリ期間だった、周囲の反応を見るお試し期間が終わったぐらいに前向きに捉え、ちょうどいいタイミングだったので、そうだ植毛をしようと決めました。
MtFの自毛植毛
私が自毛植毛の施術を受けたのは、テレビでもCMをしている美容クリニックの系列でした。選んだ理由はその時調べた中では値段が安く(顔を出さないモニター価格で1グラフト500円台)、知名度や実績があると感じたためです。
施術当日は移植の量が多かった(1800グラフトほど)こともあり、12時間以上かかりました。施術をして下さった先生や看護師さんも他のお客さんの対応もしながら大変だったと思います。
施術の内容はFUEと言う、頭の後ろ側の髪の毛根?細胞?を採取して、移植したい部分に植える感じです。この施術では後ろの髪を広範囲に刈り上げてから行うので、術後は髪を下ろせばギリギリ隠れる感じで、しばらくは枕に当たると痛かったです。
移植部はもっとデリケートでケアも大変だし、帽子かぶっても痛いし、見た目がすごいので家族以外にはとても会えない感じでした。
そんな状況で1ヶ月を過ぎてくると痛みも落ち着いてきますが、ここから通常よりゆっくり生え変わっていくので、まだまだ仕事など社会復帰はできない感じでした。
声帯短縮も受けよう
しばらく動けない時間が続くので、働いていた時のことなどを振り返っていました。
女性のような発声はある程度できるようにはなりましたが、喉や声帯周りの準備をするのに時間がかかったり、気を抜くと低い声が出てしまいそうになるので、不安を抱えたままでした。
そんな時にまたもネットを見ていて、今度は声帯短縮術を受けたいなと思い始めました。
私自身は性別適合手術を受けた時に、同時に「甲状軟骨形成術Ⅳ型」を受けてはいましたが、30ヘルツぐらい上がった程度でそれほど大きく改善されていませんでした。
そのため、どうせ動けない時間がある今のうちに受けてしまおうと思い、京都にある病院に予約をして、1ヶ月後ぐらいに施術を受けました。
喋ってはいけない1ヶ月
声帯短縮術(ウェンドラー式)というのは、声帯の前方を直接キズを付けて細胞を縫合して声帯の長さを短くすることで声が高くなる術式とのことです。なので術後は1ヶ月声を出さないように言われました。
買い物に行くのが緊張して、袋いりますか?って言われると、軽く会釈しながら首を横に振ったり、手も一緒に振っていらないですのジェスチャーで誤魔化す感じでした。
そして1ヶ月経っていよいよ声を出してみると、ちゃんと高くなっていてめちゃめちゃ嬉しかったです!
もちろんすぐには、うまく発声できません。よく声帯は楽器に例えられますが、今までと違う自分の声帯を使いこなしていくために、ここから練習していくことになります。
もともと女性の声を練習していると、少し感覚が掴みやすいかもしれません。今までコンディション整えるのに時間がかかっていたのが、ある程度短縮できる工程ができたような感じがしました。
医療美容の技術はすごい
こんな感じで、植毛と声帯の手術を立て続けに行い、生え変わりを待ちながら発声のトレーニングを気長に続けることになります。
費用はどちらも100万前後しましたが、これにより人生が前向きに生きやすくなるなら、惜しくないと思いました。何もしなければ永遠に変わることのない現状でしたので、医療や美容の技術はすごいなと驚かされました。

この後はまた仕事探しをしていくことになります。以前に比べて施術をしたおかげで、喋ることや立ち振る舞いに自信を持てるようになったことが大きいと思いました。
人それぞれのライフプランがあると思いますが、節目のタイミングに自分に必要な行動を選んで未来を切り開いていけたらいいなと思います。